NECが子会社2社の株式をシャープと京セラに譲渡する。シャープについては、NECディスプレイソリューションズの株式のうち66%を譲渡し2社で合弁会社化する。京セラについては、昭和オプトロニクスの保有株式の全てに当たる93.53%を譲渡する。NECはこれらの株式譲渡により約200億円を調達することになる。
シャープは2020年3月25日、NECの子会社でディスプレイ機器を中心とした映像ソリューション事業を手掛けるNECディスプレイソリューションズ(以下、NDS)の株式のうち66%を同年7月1日付で取得し合弁会社化すると発表した。また同じ3月25日、京セラも、NECの子会社で光学部品メーカーである昭和オプトロニクスの株式について、NECが保有する93.53%分の株式全てを6月1日付で譲り受ける株式譲渡契約を締結したと発表した。株式譲渡完了後の新社名は「京セラ昭和オプトロニクス株式会社」だ。なお、両案件の株式譲渡金額は、NDSが92億4000万円で、昭和オプトロニクスは非公開だが約100億円と報じられていることから、NECは約200億円を調達するもようだ。
NDSの2018年度連結業績は売上高が973億円、営業利益が9億3000万円で、従業員数は約950人。B2B向けの液晶ディスプレイやビジネスプロジェクター、デジタルシネマシステムなどを世界120カ国に向けグローバル展開している。NDSを傘下に収めるシャープも、液晶ディスプレイや電子黒板、ビジネスプロジェクター、8K関連商品を展開しているものの、欧米を得意とするNDSと相互補完関係にあるとしている。
また、NDSとシャープの商材のクロスセル、両社の高い技術力を生かしたLEDディスプレイや8K+5Gエコシステムなど新規カテゴリーの事業拡大、両社の購買力の活用その他スケールメリットによるコスト力の強化など、合弁会社化によりさまざまな相乗効果が期待できるという。
なお、NECは現在NECネッツエスアイが保有する0.1%分を含めて、NDS株式34%の保有を続ける。新たな合弁会社からNECブランドの製品を引き続き提供するとともに、グローバル販売も継続する方針だ。
昭和オプトロニクスは、前身の昭和光機製造として1954年に設立以来、超高精度レンズ研磨技術、高耐力・低損失の成膜技術、優れた安定性が特徴のレーザー技術をコアに、宇宙関連や、露光機などの半導体製造装置、DNA解析装置などの医療機器といった高付加価値市場に向けた事業を展開している。従業員数は約230人。一方の京セラは、1983年に開始した光学部品事業で、多品種材料を用いた小径から大径まで幅広いレンズの高い製造技術を有しており、車載用途やOA機器用途のレンズから、FA機器や医療機器向けの光学ユニットに至るまで、多岐にわたる分野に向けて製品を展開している。2016年には、事業拡大に向けてFA機器向けの大口径レンズや高精度レンズを手掛けるメレスグリオを子会社化し、今後の需要増に対応するための増産投資も積極的に進めている。
京セラは、昭和オプトロニクスを子会社化することでレーザー関連などの新市場に参入する足掛かりを得ることになる。昭和オプトロニクスとしても、技術融合によるシナジー効果に加え、世界全域に広がる京セラの販売網や生産拠点を有効活用した事業拡大を図れるとしている。
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