30年前に予見した「有人化工場」、機械データサービス定着を目指すシチズンの挑戦:製造業×IoT キーマンインタビュー(4/4 ページ)
MONOist デジタルサービスの提供を考えると、1社でできない領域も生まれ、他社と組む部分と自社の強みとして残す部分の切り分けが必要になりますが、その点についてはどう考えていますか。
柳平氏 まずは機械の領域は競争領域として差別化を進めていく。また、オペレーターとのコミュニケーションや管理などを領域も一部は競争領域だと考えている。さらに、これらのノウハウとデータを組み合わせてソリューションとするアプリケーションなども競争領域だと位置付けている。デジタルサービスではこの競争領域となるアプリを増やしていくことがポイントになってくる。
その他のこれらの仕組みを実現するために必要な、ネットワーク層やデータ共有層、データを蓄積するデータベース層、リアルタイム制御などを行うリアルタイム層などは、基本的には協調領域だと位置付けている。この領域はオープン化を進め、国際標準やデファクトスタンダードなどに合わせていく。顧客のニーズに合わせて、固定化せずにさまざまな規格に対応できるようにするというのが基本的な考え方だ。あくまでもモノづくりの価値に直結する領域がシチズンマシナリーのコアだと考えている。
シチズンマシナリーが考えるデジタルサービスの協調領域と競争領域。赤枠が競争領域(クリックで拡大)出典:シチズンマシナリー
MONOist デジタルサービスにおけるアプリケーションとしてはどういうものを考えていますか。
柳平氏 稼働監視や遠隔メンテナンスサポートなどは既に用意しているが、マシンシミュレーションは早期に用意したいと考えている。マシニングセンタなどのシミュレーションツールは既に用意されているが、自動盤では今までにはあまりなかった。マシンシミュレーションが精密にできれば、稼働率や生産性向上に大きく貢献する。実際に機械の環境や使用状況に応じて、同じ機械で同じワークを作っても生産スピードや仕上がりに差が生まれることがある。それが計画との差を生み、工場全体の稼働に影響を与えることも多い。実際の機械の稼働情報を基にシミュレーションを行うことができれば、リアルな将来予測が行える。既にプロトタイプは2018年のJIMTOFで発表しているが、JIMTOF2020には製品版を用意したいと計画している。
今後は、さらに取得するデータの幅を広げるとともに、分析によるアプリケーションをさらに増やしていくことが重要だ。現在アルカプリ会員は現在700社、1100人くらいだが、アプリを増やすことでユーザーを拡大していきたい。
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