日立が日立化成と画像診断事業を売却、MHPSの保有株式も三菱重工へ譲渡製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2019年12月19日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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画像診断事業は富士フイルムへ

 画像診断事業の売却先は富士フイルムである。日立およびその子会社や関連会社が手掛ける画像診断関連事業について、対象事業を承継させる会社として新たに設立する承継準備会社(富士フイルムヘルスケア)に承継させた後、富士フイルムヘルスケアの株式全てを富士フイルムに譲渡する。日立と富士フイルムは譲渡対象となる事業の価値を1790億円で合意しており、最終的な譲渡金額は各種調整の後に確定する。株式譲渡は2020年7月1日を予定している。

 譲渡対象となる画像診断関連事業は、CTやMRI、X線診断装置、超音波診断装置などの画像診断システム、電子カルテなどの研究開発、製造、販売、保守サービスから成り、2019年3月期の売上高は1432億円。

 一方、富士フイルムのヘルスケア領域は、化粧品やサプリメントなどの「予防」、画像診断システムや医療ITなどの「診断」、再生医療やバイオ医薬品などの「治療」が含まれており2018年度の売上高は4843億円となっている。

 今回の買収により、富士フイルムのヘルスケア領域の「診断」を担うメディカルシステム事業は、CT、MRIも含めた画像診断システムと医療ITに加え、体外診断システム、内視鏡もそろい、ワンストップでのトータルソリューションの提供が可能になる。また、富士フイルムの医用画像情報システム(PACS)などに活用している、画像処理技術やAI(人工知能)技術などを対象事業の製品に組み合わせることで、さらに付加価値の高いソリューションの提供にもつなげられるという。

MHPSの株式は和解金の一部として譲渡

 日立と三菱重工の火力発電システム事業を統合して、2014年2月に発足したのがMHPSである。しかし、MHPS発足前の2007〜2008年に日立が受注した南アフリカ共和国のボイラー建設プロジェクトが当初予定の2015年を過ぎて現在も完成しておらず費用がかさんでおり、この費用について三菱重工が日立に費用負担を求めていた。

 三菱重工は2017年8月に、約907億南アフリカランド(約7743億円)の支払いを求める仲裁を日本商事仲裁協会に申し立てるなどしていたが、「仲裁手続と並行した誠実かつ真摯な協議の結果、両社は和解に至った」(ニュースリリースより抜粋)という。

 この和解を受けて、日立は三菱重工にMHPSの日立所有株式の全て(35%、2480億円相当)を引き渡すとともに、2000億円の和解金を支払う。和解金のうち700億円は、日立が有するMHPS子会社に対する債権を三菱重工に譲渡する形で支払う。残りの1300億円は、2020年3月に支払う予定だ。

 これによりMHPSは三菱重工の100%子会社となる。一方、日立は引き続き三菱重工と連携して、既設の火力発電プラントの保守サービスなどを実施するという。

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