ディスコは、「SEMICON Japan 2019」に出展し、加工プロセスに応じて複数の半導体製造装置を連結できるクラスターシステム「MUSUBI」や屋上搬送システム「RoofWay」など、効率的なウエハー搬送ソリューションを提案した。
ディスコは、「SEMICON Japan 2019」(2019年12月11〜13日、東京ビッグサイト)に出展し、加工プロセスに応じて複数の半導体製造装置を連結できるクラスターシステム「MUSUBI」や屋上搬送システム「RoofWay」など、効率的なウエハー搬送ソリューションを提案した。
従来の半導体製造プロセスはウエハー裏面研削後にダイシングを行うが、積層数の増加が進む3D NANDフラッシュなどウエハー薄化が求められる領域では、薄いウエハーを搬送する時の破損リスクやチップ裏面に発生するチッピングが課題となっていた。そこで、先にウエハーをハーフカットした後、裏面を研削することでチップに分割するDBG(Dicing Before Grinding)といったプロセスがディスコなどから考案され、ウエハー搬送による破損やチッピングといったリスクが低減されている。
MUSUBIはDBGやSDBG(Stealth Dicing Before Grinding)プロセスに対応する、新しい搬送方式を採用したクラスターシステムだ。300mmウエハーを取り扱うことができ、メモリやロジック、パワーなど広範なアプリケーションに活用可能とする。MUSUBIでは、ウエハーが1枚ずつ装置間を移動し加工終了後にカセットに収納される。加工後ウエハーが収納されたカセットを次の装置へ人力で搬送する必要がないため、ウエハー破損リスクが大幅に低減できる。
同社ブースでは、MUSUBI対応機器であるグラインダーポリッシャー「MGP8762」、ドライエッチャー「MFE8061」、マルチファンクションウエハーマウンター「MFM9200」が連結されていた。各装置へのウエハー投入と取り出しは、搬送ハンドロボットが装置間に渡されたレーンを走行しながら行う。
MUSUBIでは各装置の加工時間に応じて適切な台数の搬送ハンドロボットを追加することで、搬送によるウエハー滞留を抑制できることがメリットだ。また、搬送ハンドロボットも、薄化後のウエハーを搬送する全面吸着パッドとダイシングフレーム貼り付け後のウエハーを搬送する機構が一体となった「ダブルハンドロボット」とし、多様なプロセスに対応可能とした。
MUSUBIシステムおよび、同システム対応機器であるMGP8762、MFM9200は既に販売している。MFE8061は2020年8月から発売される見込みだ。今後発表予定のレーザー加工機「MFL7362」やCMPポリッシャー「DFP8170」もMUSUBIに対応する。また、後付けによる構成変更も可能とし、システム対応機器であれば他社製プロセスモジュールとも接続できるという。
また、同じく同社ブースで展示されていたRoofWayもウエハーを自動搬送するシステムとなる。ウエハー搬送を装置上部のレーンを走る独自開発のAGV(無人搬送車)で行う。ベルトコンベヤーなど他の搬送方法と比較して、フットプリントの増加や搬送量増減の追従不足といった課題を解決できるという。
ディスコは以前からAGVを装置上で走らせウエハーを搬送する「並列加工搬送システム」を提案している。この並列加工搬送システムとRoofwayの違いは、システム全体の高さを抑え、軽量化を施した点にあるという。
ウエハーをAGVに積載する方法も変更した。並列加工搬送システムでは、ウエハーを保存するエレベーターユニットにウエハー昇降機能を持たせることでウエハーをAGVに供給していたが、RoofwayではAGV側にウエハー昇降機構を設けた。これにより、既存機器に昇降機能を取り付ける改造なども最小限に抑えられるという。
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