ヴァレオジャパンは2019年12月3日、電源電圧が48Vの軽トラックタイプの電気自動車(EV)を群馬大学と共同で製作したと発表した。
ヴァレオジャパンは2019年12月3日、電源電圧が48Vの軽トラックタイプの電気自動車(EV)を群馬大学と共同で製作したと発表した。48Vシステムは従来の12Vシステムと同様に扱うことが可能で、60V以上の高電圧の電動システムよりも低コストに電動化が可能になるとし、EVでの採用を提案していく。
群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センターとヴァレオジャパンが共同開発した。車両は、出力15kWのヴァレオの48Vモーターを前後軸に1台ずつ配置した4WDとなる。DC-DCコンバーターは1台搭載する。今後走行試験を重ね、最高時速100kmで走行距離100kmを走行することを目指す。軽自動車に加えて、超小型モビリティも低コストに電動化できるとしている。
ヴァレオはこの他にも48VのEVとPHEVを試作しており、海外では公道走行も実施している。開発した48VのEVは2人乗りで、都市部での短距離の移動を想定している。試作車両の最高速度は時速100kmで、走行距離は150kmだ。従来の高電圧のEVと比較して、コストを20%削減できるとしている。
48VのPHEVは5人乗りで、モーターのみで走行するEV走行が可能な距離は40kmとなる。EVと同様に、従来比20%のコスト削減が可能だという。試作した48VのPHEVは、エンジン車の都市部進入規制の強化も見据え、制限区域内に入ったことをGPSで検知するとEVモードに自動的に切り替えられるようにした。
日系サプライヤーの中には「48Vシステムが使えるのは長くても2030年ごろまで」と消極的な意見もあるが、欧州のサプライヤーは48Vシステムによる電動化に積極的だ。コンチネンタルから分社化したVitesco Technologiesもビジネスをけん引するのは48VマイルドHVで、現在は出力30kWで、時速80〜90kmの速度までモーターのみで走行できるシステムを開発中だという。CO2削減効果は現行製品が10〜15%減なのに対し、開発品は20%まで改善が見込めるという。ボッシュは、既存の設計から最小限の変更で搭載できる48Vシステムから、モーター走行までカバーできるタイプまで広くそろえる。
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