電子ミラーの普及をにらみ、トヨタ「e-Palette」向けにソフトウェアも自社開発車載情報機器

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にトヨタ自動車が提供する「e-Palette」に、東海理化の統合電子ミラーシステムが採用される。合計3つのカメラの映像を合成し、後方から後側方の情報を一括で表示できるようにする。

» 2019年11月19日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にトヨタ自動車が提供する「e-Palette」に、東海理化の統合電子ミラーシステムが採用される。合計3つのカメラの映像を合成し、後方から後側方にかけての情報を一括で表示できるようにする。

統合電子ミラーシステム(左)。3つのカメラの映像を合成する(右)(クリックして拡大)

 東海理化は、レクサス「ES」向けの「デジタルアウターミラー」のサプライヤーでもある。しかし、同機能のうち、ディスプレイとカメラはパナソニックが、システムのECU(電子制御ユニット)はデンソーが担当しており、東海理化はカメラを車外に設置するためのカウラハウジングのみ手掛けていた。今回、大会仕様のe-Paletteで東海理化は初めてソフトウェア面も含めて開発した。

 大会仕様のe-Paletteは、車両にオペレーターが乗車するがレベル4の自動運転で運行する。選手村に数十台導入し、選手村内の巡回バスとして使われる。車両には車両後方と、従来の車両のサイドミラーの位置に、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)とカメラを搭載。東海理化の統合電子ミラーシステムは、3つのカメラの映像を画像処理ECUで合成し、電子ミラーモニターのディスプレイに表示するというものだ。将来は、無人運転車の遠隔監視などへの応用を見込む。

東海理化はレクサスES向けのサイドミラー(写真上)とデジタルアウターミラーのハウジング(写真下)を手掛ける(クリックして拡大)

 今回は、法規で定められた視界や見え方が確保できたという。今後の課題は、処理の遅延時間の抑制や起動時間の短さなどソフトウェア面の処理だとしている。東海理化はこうした分野の技術も深めつつ、従来のミラー開発のノウハウと、ソフトウェアを一体にして電子ミラーシステムを展開していくことを目指す。

 サイドミラーをカメラとディスプレイで置き換えている代表的なモデルは現時点ではAudi(アウディ)の電気自動車(EV)「e-tron」やレクサスのESだが、どちらもオプション装備として設定しており、従来のサイドミラーも設定として残している。ただ、ホンダのEV「ホンダ e」はサイドミラーの設定がなく、全車が電子ミラーとなる予定だ。また、日産自動車のインテリジェントルームミラーのサプライヤーがパナソニックと市光工業から、パナソニックのみに変わるなど、ソフトウェア面や画像処理技術が重視される傾向にある。

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