製品開発における品質保証の手法と最新技術の活用品質保証の本質とIoTの融合(3)(2/2 ページ)

» 2019年09月20日 10時00分 公開
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2. 問題解決のための最新技術の活用

 ここまでで製品ライフサイクルにおける品質保証上の問題について振り返ってきました。これらの問題を解決するには、IoT(モノのインターネット)で収集、蓄積した情報をITによって共有を図ることで解決していきます。

  1. 2次元表の改廃が煩雑
    • 製品開発データベース構築による効率化。データ再利用、整合性確保
  2. 過去トラの情報が整備されていないため、フィードバックがされない
    • 実績DBとの連携による過去トラデータの蓄積
  3. 社内技術ノウハウが属人化している
    • 類似仕様把握等によるAI活用

 まず、QFDでの2次元表を表計算ソフトで管理していくのは煩雑になりますし、毎回シートやブック間のデータの整合性を合せるのが面倒です。そのため、2次元表のデータをデータベースシステムに格納し、類似データをコピーしたり、変更箇所のみ一括で変更する機能を実装したりすることにより、2次元表の作成や改訂作業が効率化します。そのうえ、データの共有も容易になるので、設計担当者間でのノウハウ共有化も進みます。

 次に、各工程の「出来高」「工数」「設備稼働」「製造条件情報」をIoT活用により収集、蓄積して実績データベースを構築します。この内容については連載「トヨタ生産方式で考えるIoT活用【実践編】」をご参考下さい。生産活動の中で出てきた不良情報とその要因、対策結果のデータもあわせて蓄積し、過去トラデータとして品質不具合データベースに連携します。その不具合を解決する要求事項を、次の製品開発への要求事項として製品開発データベースに連携していきます。

 技能や素材情報についても、生産活動で培った良品製造条件の適正値や素材投入実測値の情報を製品開発データベースに連携することで、生産上におけるノウハウを設計に生かすことができます。

 製品開発データベース、実績データベース、品質不具合データベースの3つの情報を個々の業務に生かすだけでなく、上手く連携していくことで製品ライフサイクル全体の効率化につながります。

製品ライフサイクルのあるべき姿(クリックで拡大) 出典:アムイ

 以上で、製品開発における品質保証の手法と最新技術の活用についての解説を終了します。

⇒前回(第2回)はこちら
⇒本連載の目次はこちら

筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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