サーブリッグによる分析に慣れるためには、いくつかの簡単な動作の分析をやってみるのが良いと思います。この段階を通じて、サーブリッグの流れともいえる、ある決まった組み合わせがあることに気付きます。次のようなサーブリッグの性質を知っておくことが、分析を行う上での助けとなります。
サーブリッグ記号は、現象をありのままに表現するための一種の約束で、抽象的な言葉でいろいろと表現されているものを簡潔、正確に表現しようとするものです。サーブリッグ分析を行うときは、頭の中の抽象的概念にとらわれず、現象をありのままに観察することが大切です。
ほとんど無意識の中で動作や作業方法を把握して、あたかも系統的な分析手法を適用していくことと同じようなステップで考えることができ、問題点の摘出や改善点の着眼を発想できる能力や態度を「モーションマインド(Motion Mind)」と呼びます。
バーンズは、「サーブリック記号による分析は、モーションマインドを体得するのに大いに役立つ」と述べ、モーションマインドが、時間研究にとっても大切なものであり、サーブリック分析がそれを育成する上で重要な役割を果たすことを説いています。モーションマインドに基づく行動を要約すると以下の3段階となります。これを「モーションマインドの3要素」といいます。
以上のように、観察して“差異を発見する”ということは、モーションマインドに基づく行動の第一歩です。また、“動作の違いを明らかにして、良い動作を判断できる”ということは、さらに、“動作の違いを書き表すことができる”ということと、“動作の良しあしを判断できる”ことを意味しています。そのためにはサーブリッグ記号の意味や動作経済の原則などをシッカリと理解しておく必要があります。
“良い動作設計ができる”ということは、ちょうど機械の設計技術者がそれぞれのアイデアを構造図面や回路図面として表すように、自ら最良の動作を記述し、具体的に提示できることをいいます。サーブリッグの分析者は、身近のあらゆる機会を通じて、いわゆる“良い動作”の感覚を養い、反射的に対応できるまで鍛錬しておかなければなりません。
いろいろな方法がありますが、ここでは目視動作分析を行う場合の手順について説明します。サーブリッグ分析は、精度の点や動作の所要時間が分からないといった欠点はありますが、動作意識を身につけるための訓練とか、作業改善のヒントをつかむためには有効な方法です。
まず、サーブリッグ記号を十分に理解することが重要です。次に、個々のサーブリッグ記号を暗記します。誰かに依頼して、簡単な動作を20回くらいやってもらい、それをサーブリッグ記号で記録していきます。できれば、何人かで行うことで、お互いの間違いを指摘し合い、最後は全員が同じ分析結果になるように訓練していきます。
この目視動作分析は表2(例)にあるような分析表を使用して、次のような手順に従って行います。
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サーブリッグは、その必要度によって、以下の第1〜第3類の3つのグループに分けることができます。
第1類に属するものは、仕事を行う上で一応必要な動作と考えられます。しかし、順序を変えたり、より楽に短い時間で仕事ができたりするように改善を考える必要があります。
また、第2類に属するものは、第1類の動作に要する時間を遅らせる性質を持っています。従って、できるだけ排除すること考えなければなりません。第3類は、明らかに仕事が行われていない状態です。従って、第2類と同様にそれらを排除することが最も効果的です。このようにして、最良の作業手順の設計を行っていきます。
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MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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