日々の作業管理を行う際の重要なよりどころとなる「標準時間(ST;Standard Time)」を解説する本連載。第11回は、動作分析における分析手法の一つである「サーブリッグ(Therblig)」分析について説明する。
「サーブリッグ(Therblig)」分析は、動作分析における分析手法の一つで、ギルブレス(Frank Bunker Gilbreth)夫妻によって提唱されました。記号の名称を即興的に自分の名前(Gilbreth)を逆に呼んで(Therblig)決めたことが由来になっています。また、この方法を「微動作分析(Micromotion Study)」という場合もあります。
サーブリッグ記号は、あらゆる種類の動作分析に共通的に適用できるように考えられ、人間の動作を徹底的に細かく分析し、基本要素(サーブリッグ)に分割しました。ギルブレスが考案したサーブリッグ記号は、人間の動作を17の基本的な動作に分類したもので、作業を詳細に分析して、より効率的な作業方法や動作改善を行うときに用います。
サーブリッグ記号には、一般的に表1のような特徴があるといわれています。
No. | 長所 | 短所 |
---|---|---|
1 | 時間研究、訓練資料の他、他の多くの職務内容が的確に表現できる | 分析に、やや時間を要する |
2 | サーブリッグ記号ごとに、動作内容が定義されているので、分析結果が正確である。さらに、動作ごとに色彩などを用いて分類することで分析が容易である | 分析に習熟するのに、時間がかかる |
3 | あらゆる作業に共通な基本動作によって構成されているため、各種作業への応用が可能である | 時間値が決められていないので、定量的な分析には不向きである |
4 | 動作の1単位が小さいので、詳細な分析ができる | − |
表1 サーブリッグ記号の特徴 |
動作の切れ目を表すサーブリッグ記号の種類とその内容について、以下に示します。
もともとの17個に分類されていたサーブリッグ記号には「見つける(Find)」が含まれていました。しかし、この「見つける」は、それ自体が単独で発生するものではなく、しかも持続しない要素であって、「探す(Search)」または「選ぶ(Select)」のサーブリッグの終わりに融合して起こり、身体動作というよりも観念的な作用として発生します。サーブリッグとして時間の測定が困難であるという理由から、バーンズ(R. M. Barnes)の意見に従い、現在では除外されています。
これとは反対に、「保持(Hold)」については、ギルブレスは「つかむ(Grasp)」の一つの形として理解し、当初は独立したサーブリッグ記号として分類しませんでした。後に加えられたことで、結局動作要素の総数は17個のままになっています。ここからは、その17個のサーブリッグ記号の特性について説明します。
(1)つかむ(G:Grasp)
(2)位置決め(P:Position)
(3)前置き(PP:Pre-Position)
(4)使う(U:Use)
(5)組立(A:Assemble)
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