筑波大学と日立製作所は、心磁図と心臓CT画像の合成技術を用いて、不整脈の発生部位を高い精度で特定できることを明らかにした。治療前に不整脈発生部位を特定できれば、より綿密な治療計画立案が可能になり、患者の負担も軽減する。
筑波大学と日立製作所は2019年8月1日、心磁図と心臓CT画像を正確に合成する技術を用いて、心室からの不整脈の発生部位を高い精度で特定できることを明らかにしたと発表した。
現在、不整脈に対しては、太ももや手首から心臓までカテーテルを入れて、不整脈の発生部位を確認し、焼灼する高周波カテーテルアブレーション治療が広く用いられている。その際、不整脈発生部位の把握には心電図を用いるが、正確な部位の特定が難しく、治療の有効性や安全性にも問題があった。
今回の研究では、心室期外収縮でアブレーション治療を受けた患者18例を対象にした。治療に先立ち、心磁データから作成した、心臓に流れる電流の3次元分布画像(心磁図)と心臓のCT画像を日立の技術で合成した。
この合成画像において、電流強度が最大の位置を不整脈の発生部位とし、心臓CT画像から別途作成した心臓の3次元モデルと合成した。その結果、不整脈が心臓の内外どちらで発生しているかを視覚的に分かりやすく特定できる画像が得られた。さらに、不整脈発生部位と冠動脈の位置関係も確認できた。
不整脈発生部位の特定について、アブレーション治療で判明した発生部位と比較したところ、心電図を用いる従来の方法は18例中10例の一致だったのに対し、今回の合成画像による特定方法は、18例のうち17例で一致していた。
合成画像により、アブレーション治療前に不整脈の発生部位を特定できれば、より綿密に不整脈の治療計画を立てられ、患者の治療負担も軽減する。今後研究グループは、心房細動の治療にも今回の成果を応用していく。
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