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ソニーの企業内ファブスペースです。オープンイノベーションなどがにぎやかになってきた時期に、国内メーカーの画期的な取り組みとしてスタートしました。社内から生まれる“アイデアの種”を育てる場所として活用されており、連日の工作機械の運用状況は国内屈指のスペースです。
また、興味深い取り組みの1つとして「社員の紹介があれば、外部の人でも会員になれる」という仕組みがあります。社員だけでなく、社外の利用者を巻き込むことで、オープンイノベーションの促進を期待しています。
「総額5億円の機材が備えられたスペース」という衝撃的なワードが関係者をにぎわせた秋葉原にある「DMM.make AKIBA」。製作環境付きのレンタルオフィス、コワーキングスペースとしてオープンしました。ここには、3Dプリンタをはじめ、木工、金工、電子基板製作など、あらゆるジャンルのモノづくりに対応した機材がそろっています。また、「ハードウェア起業」を意識したこの施設では、出荷までの工程をカバーできるよう、検査や試験の設備も用意されています。製品づくりに関わるあらゆる工程をこの施設で賄うことができます。
他には、オンラインで3Dプリントを注文できる「DMM.make 3Dプリント」というサービスがあります。さまざまな素材に対応しており、樹脂だけでなくフルカラー印刷、アルミやチタンなどの金属印刷、カーボン素材などの3Dプリントを注文することができます。
2006年に米国でスタートした「TechShop」は、メイカーたちにとって憧れのような場所です。広大な施設の中に、ウォータジェットカッターやNCなどの大型工作機械、デジタル工作機械、木工、金工、電子基板製作などが並びます。米国のDIY文化を象徴するかのようなこの場所では、趣味のモノづくりからビジネスのモノづくりまで、アマチュアからプロまで、さまざまな会員が集まり、連日多様なモノが製作されています。スマートフォンやタブレット端末を使ったカード決済用端末サービス「Square(スクエア)」は、このTechShopから生まれた製品です。
このTechShopが富士通の出資により日本にも上陸しました。日本でオープンした「TechShop Tokyo」でも、金属、溶接、木工、電気、樹脂、裁縫、塗装など、本格的な工作設備を多数完備しており、さまざまなアイデアを簡単にプロトタイピングできる環境が整っています。また、それぞれの工作設備のトレーニングクラスが開講されており、初めての方からプロまで、自分に合わせたスキルアップを図ることができます。
ここまで紹介してきたものは、ごく一部の施設です。2012年以降、国内のさまざまな場所で多様な施設が立ち上がりました。モノづくりの民主化が進んだ今、せっかくなので皆さんも何かを作り始めてみませんか? STEAM教育、プログラミング教育、大人の図工、モノづくりによる副業、ハードウェアスタートアップなど、デジタルモノづくりに関連したニュースが毎日のようにメディアで紹介されています。こうした情報を参考にしつつ、自分なりのモノづくりの楽しみ方を発見していただけたら幸いです。また、夏休みシーズンに併せて、イベントを企画している施設も幾つかありますので、この機会に訪ねてみてはいかがでしょうか!
最後に、この夏イチオシのイベントを紹介します。
今回、たびたび登場した「メイカー」たちが集い、展示とデモンストレーションを行うイベントです。老若男女のメイカーが作る、さまざまなプロダクトを体感できます。また、Maker Faire Tokyoは、ただ見るだけのイベントではありません。はんだ付け入門やプログラミング入門をはじめとしたワークショップも多数用意され、実際にモノを作る体験を行うことも可能です。チケット情報などの詳細は、オフィシャルサイトをご覧ください。 (次回に続く)
梅澤陽明(うめざわ ひろあき)
1984年神奈川生まれ。一般社団法人デジタルファブリケーション協会 代表理事。ファブラボ神田錦町 チーフディレクター。大手建設機械メーカー設計部にて、超大型ショベルの設計開発に従事。在職中に「ファブラボ」活動を知り、起業を決意。ファブラボジャパンのメンバーとして、ファブラボ鎌倉の立ち上げサポートの後、ファブラボ渋谷をスタートさせる。運営メンバーとして現職。自身の専門から、数あるデジタルツールの中でも、3Dモデリングを活用したエンジニアリングや、3Dプリンティングを専門とする。デジタルものづくり手法を組み込んだ試作開発や、多品種小ロットプロダクトの企画製作に取り組みながら、ファブラボで語られる思想を社会に溶け込ませることを目指している。
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