DMG森精機は、2019年秋から工場内でのローカル5Gの実証を始めることを明らかにした。5Gを工場内、もしくは工作機械で使用する価値を検証する。同社ユーザーイベント「伊賀イノベーションデー2019」(2019年7月9〜13日)では、5Gの紹介コーナーなども用意した。
DMG森精機は、2019年秋から工場内でのローカル5Gの実証を始めることを明らかにした。5Gを工場内、もしくは工作機械で使用する価値を検証する。同社伊賀事業所で開催されているユーザーイベント「伊賀イノベーションデー2019」(2019年7月9〜13日)では、5Gの紹介コーナーなども用意した。
5Gは、最大10Gbpsの高速通信、1ms以下の低遅延、1km2当たり100万台の多数同時接続など、従来の4Gにない特徴を備えている。日本では2019年9月からプレサービスが開始され2020年春から商用サービスが開始される予定となっている。
通信キャリアの新サービスなどで注目を集める5Gだが、5GはIoT(モノのインターネット)などに最適な機能を持つことから、工場などの産業用途での活用にも注目が集まっている。その意味で、通信キャリア以外の事業者が、独自の基地局を設置して5Gを活用する「ローカル5G」への期待が高まっている。
「伊賀イノベーションデー2019」では5G体験コーナーを用意し、工場など産業用途での5Gの可能性を示した。展示の1つとして、2台のロボットを5GおよびLTE通信で接続し、片方のロボットを操作すると、その動きをもう1台のロボットで再現するというデモを用意。5Gだと遅延なく動作を再現するが、LTEの場合は遅延により、動作が遅れて再現されるという、5Gの低遅延性を示した。ただ、会場で実際に5Gの電波を飛ばしたわけではなく、エミュレーターによる再現での実証となっている。その他、VR(仮想現実)などによる高速、高容量通信の価値なども訴求した。
伊賀イノベーションデー2019に出展された5Gの体験コーナー。5Gで接続されたロボットを連携動作させる。ガラスケース内のロボットを左のロボットを操作することで動かす。LTEと5Gの切り替えにより、5Gの低遅延性を訴求(クリックで拡大)DMG森精機では2019年秋からKDDIと共同でこのローカル5Gを利用した工場内の実証を開始する。「伊賀イノベーションデー2019」初日に記者会見を行ったDMG森精機 取締役社長の森雅彦氏は「5Gは多数同時接続や低遅延であるなど、工場での活用に最適な機能などを持っている。これらを実際に工場で活用しどのような効果が得られるのか、という点や、どういうところに課題があるのか、について、検証を進めていく」と5Gについての新たな取り組みを語った。
DMG森精機では以前からKDDIとの協業により、3G回線や4G回線を使用した工作機械の遠隔監視サービスなどを展開してきた。5Gではさらに従来の取り組みを拡大する方針である。「5Gでは多数同時接続により、工場内の工作機械全てを一括で接続し情報を取得できるようになる可能性もある。また、双方向性についても大きく向上するため、遠隔監視だけでなく遠隔制御の領域にも可能性がある。工作機械のソフトウェアのバージョンアップについても、従来はソフトウェアエンジニアを派遣し、USBメモリデバイスを使って更新をしていたが、今後は遠隔から更新をかけられるようになるかもしれない。こうした可能性を検討していきたい」と森氏は5Gへの期待を語っている。
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