PTCの年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2019」において、同社の研究開発組織である「PTC Reality Lab」がブースを構え、AR(拡張現実)技術を用い、異なる領域間でのインタラクションを実現し、3Dプリンティングを容易に開始できる「AIRプロジェクト」のデモを披露していた。
米国マサチューセッツ州ボストンで開催されたPTC主催の年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2019」(会期:2019年6月10〜13日)の展示スペース「Xtropolis」において、同社の研究開発組織である「PTC Reality Lab」がブースを構え、最先端の研究成果の数々を披露していた。
その中で特に注目を集めていたのが、AR(拡張現実)技術を活用することで、異なる領域間でのインタラクションを実現し、3Dプリンティングを容易に開始できる「AIRプロジェクト」だ。
AIRとは“Augmented Intersection Reality”の略。ユーザーは、PCのWebブラウザ(Google Chrome)上に表示された3Dモデルに、スマートフォン(以下、スマホ)の専用アプリをかざし、指でスマホの画面に表示された3Dモデルにタッチして、そのままドラッグする(スマホを引き上げるように動かす)と、Webブラウザ上に表示されていた3DモデルをAR空間に移動することができる。その状態で、今度は3Dプリンタのワークスペースにスマホをかざし、AR空間上に取り込んだ3Dモデルを指で移動すると、ワークスペースに配置され、位置や造形サイズなどをスマホを介して微調整でき、そのまますぐに造形を開始できるという。
AR技術をバーチャル(デジタル)とリアル(フィジカル)の“インタフェース”とした活用であり、Web上にあった3Dモデルをスマホで抜き出して、そのまま3Dプリントしてしまうという、これまでにない3Dプリンタ活用のアプローチを提案する。
このプロジェクトに携わるPTC Reality Lab シニア イノベーション エンジニアのクリスチャン・バスケス(Christian Vazquez)氏は「Chromeブラウザ向けに『AIR Extension』を開発した。WebGLでレンダリングされているものであれば基本的に何でもAR空間に取り込むことができる。このAIR Extensionにより、AR向けに準備されていないレガシーコンテンツであってもAR空間に取り込むことができる。当初、“Internet of Screens(IoS)”と呼んでいたがAppleの『iOS』とかぶるので『AIR』と名付けた」と語る。
また、今後の展望についてバスケス氏は「単なる拡張(Augmented)ではなく、実際にデジタルデータを取り出し、システム間を移動できる仕組みを作ろうと考えた。これは5年くらい先を見据えた研究開発で、将来何らかの形で世の中に影響を与える可能性がある」と説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.