PTCは年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2019」の開催に併せ、移転したばかりの本社オフィスおよび技術展示スペース「Corporate Experience Center」を報道陣に公開した。
PTCは2019年6月10〜13日(現地時間)、米国マサチューセッツ州ボストンにおいて年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2019」を開催。これに併せ、報道陣向けに移転したばかりの本社オフィスおよび技術展示スペース「Corporate Experience Center(CXC)」を公開した。
同社は2019年初めに、ボストン郊外のニーダムからボストン中心市街のシーポート地区に本社を移転した。新本社オフィスは新築17階建ての楕円形の建物で、10〜17階の上層部をPTCが使用し、世界6000人以上の従業員のうち約1000人が勤務するという。
移転の狙いとして同社は(1)さらなるブランド力向上、(2)立地的な利便性向上、(3)人材確保を挙げる。イノベーション地区として急速に開発が進むシーポート地区に本社を移すことでテクノロジー企業としての存在感を強めるとともに、空港から20分弱という立地を生かし、顧客やパートナーとのコミュニケーションを加速させたい考えだ。また、近隣にはハーバード大学をはじめとする有名大学もあり人材確保にも最適だとする。
ちなみに、シーポート地区はその名の通り、もともとは港湾施設として機能していた地区だが、近年はイノベーション地区としてオフィスビルやマンションなどが急速に増えている。実際にLiveWorx 2019の会場から新本社オフィスまで歩いてみると建設中のビルがとても目立った。PTCの新本社オフィスのすぐ横にはAmazonのオフィスビルも建設されるという。
PTCの新本社オフィスは、各種センサーをはじめとするIoT(モノのインターネット)技術などを活用したスマートビルディングで、照明や空調管理はもちろんのこと、会議室の稼働率の管理および見える化などを実現する。ビル管理のスマート化においては「シュナイダーエレクトリックのソリューションを導入している」(同社)とのことだ。
オフィスは非常にシンプルなデザインで、フリーアドレス制を採用する。会議スペースも大型の会議室からカラオケボックスのような個人用スペースまで完備されており、用途に応じて使い分けが可能。またコミュニケーションスペースとしてキッチンや休憩スペースなどもあり、開放感のあるオフィス空間を実現している。「実際、よく人の顔が見えるようになり、コミュニケーションが促進されるようになった」(同社)という。
16階の会議室には新社屋の工事中に地中から発見された難破船の木材を利用して作られた22フィート(約6.7m)のテーブルがある。シーポート地区は19世紀ごろに埋め立てられたとされており、基礎工事中に比較的良好な状態で木造の船体を発見したという。調査によると、船に積んでいた石灰の樽が海水にさらされて火事を引き起こし、船尾部が焼失して難破したとされる。
技術展示スペースであるCorporate Experience Centerは17階に位置し、CAD、PLM、IoT、AR(拡張現実)など同社を代表する技術およびソリューションを用いた技術展示、ユーザー事例が並ぶ。
その一部を紹介すると、例えばロードバイク「SystemSix」などを手掛けるCannondaleは、他社製品との差別化およびカスタマーエクスペリエンス向上を目的に、PTCのARソリューション「Vuforia」を活用。また、スウェーデンの溶接機メーカーESABはPTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」を活用し溶接作業のデジタル化を推進し、自社製品だけではなく、他社製品を含めて取り扱えるソリューションとして展開しているという。
他にもLiveWorxでおなじみのX-Factory(次世代工場をモチーフにしたデモ)やジェネレーティブデザイン、リアルタイムシミュレーションに関する技術紹介など多数のデモ展示があり、同社技術の活用イメージやその効果を分かりやすく訴求していた。
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