注目すべきポイントは“段取りレス”の実現だ。ステレオカメラを用いた画像認識(3Dアライメント機能)により、計測および特異点の抽出を行い、位置決めを自動化してくれるため、従来必要だった段取りが不要となり作業負荷を大幅に軽減できる。
また、LMD方式の場合、造形物内部にこもる熱の影響により、変形などが生じる可能性があるため、そうした影響を最小限に抑えるロジック(層ごとに加工パスを変えることで熱を均一に分散させる)を組み込んだプログラムによりGコードを生成するようにしてあるという。なお、ここで紹介した各種操作は、PC上の専用アプリケーションだけでなく、Lasermeister 100Aのタッチパネルディスプレイ上からも行える。
Lasermeister 100Aの最大造形サイズは、297×210×200mmで、最小造形サイズは1.5×1.5×1.5mmとなる。オーバーハング形状は15度程度までなら造形可能だが、それ以上になるとサポートを付けるか、オーバーハングを加味して母材の位置決めを行うなどの工夫が必要となる。また、最小線幅は1mmまでとなっている。
想定される活用イメージとしては、破損したパーツなどの肉盛り補修、冶具製作、島出し加工、既存量産品への追加造形などが考えられる。「例えば、従来のパウダーベッド方式では実現が困難な(サポートが除去できない)90度に曲がる配管のような形状もLasermeister 100Aであれば造形できる」(長坂氏)。
その他、Lasermeister 100Aはレーザーの出力をコントロールすることで、レーザー刻印、研磨(※3)、溶接などにも対応。積層造形と同じソフトウェアを用いて、多種多様な金属加工のニーズにオールインワンで応えることができる。
※3:造形物の表面に軽くレーザーを照射し、リメルト(再溶融)させることで表面のザラザラ感を軽減する方式。刃で表面を削るものとは異なる。
2019年4月から受注を開始したLasermeister 100Aだが、現時点ではまだテストマーケティングの意味合いも強い。「われわれにとって初めてとなる加工機なので、どのような領域で強みを発揮できるのかをしっかりと見極めていきたい。その上で、材料の拡充や機能強化を進めていく考えだ」(長坂氏)とし、さまざまな展示会(※4)などにLasermeister 100Aを出品する他、ニコン 熊谷製作所内にある「Lasermeister Technology Center」を活用し、顧客と直接対話しながら活用の方向性などを議論しているところだという。
※4:直近では「第24回 R&R 建築再生展2019」(会期:2019年6月11〜13日)にて「Lasermeister 100A」の展示を行うという。
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