Lasermeister 100Aは、金属材料の積層造形(3Dプリンティング)に加え、レーザー刻印(マーキング)、研磨、溶接などの金属加工機能を提供する。ここでは金属積層造形を中心にその機能や特長を紹介していく。
Lasermeister 100Aの積層造形は、金属3Dプリンタで主流のパウダーベッド方式ではなく、レーザー照射と金属粉体の吹き付けを同時に行いながら積層造形するLMD(Laser Metal Deposition)方式を採用する。ベースプレートの上に一から造形を行う一般的な3Dプリンティング(単純積層造形)に加え、既にあるもの(既存品)に対して別の形状を新たに付け加える“付加積層造形”を行うことが可能である。
「通常、LMD方式だと金属粉体を溶解して肉盛りし、後から形状をミリングで整えることが多い。また、平板のようなものを造形すると内部の熱分布の違いにより、溶融プールの領域が変わってしまい仕上がりがガタガタになってしまう。そこで、Lasermeister 100Aでは造形物内部の温度分布を予測し、熱が一定になるようにレーザーの出力を制御している。これまで半導体製造装置の開発で当たり前のようにやってきたCAEを活用した解析の知見やレーザー設計のノウハウが、Lasermeister 100Aの要素技術開発に生かされている」と長坂氏は述べる。
また、高品質な造形をサポートするのに不可欠なパウダー供給機も独自開発。材料となる金属粉体は本体下部に格納されており、パウダー供給機により金属粉体を均一かつ安定的に供給することにより、垂れや欠けの発生を抑制し、造形精度の向上を可能とする。
造形材料となる金属粉体は現在、「SUS316L」がニコンから提供されており、付加積層造形を行う際の母材としてはSUS系、ハイス鋼、炭素鋼をサポートする。「今後ニーズを見ながら造形材料のラインアップ拡充や、対応母材の幅を増やしていきたい」(長坂氏)という。
付加積層造形を例に実際の造形手順を大まかに説明すると、
となる(※2)。
※2:イメージしやすいように手順を大まかにまとめている。また、造形開始の前準備として庫内にN2を充填(じゅうてん)する必要がある。庫内の酸素濃度が一定値まで下がるとN2の供給は自動的に停止する。
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