アルプスアルパインは「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、ブロックチェーンを用いたクルマ向けのデジタルキーを展示した。物理的なキーを使わないことで、クルマの貸し借りやカーシェアリングの利便性を向上させる。ブロックチェーンを用いることで、デジタルキーの管理や維持にかかるコストを低減する。
アルプスアルパインは「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、ブロックチェーンを用いたクルマ向けのデジタルキーを展示した。物理的なキーを使わないことで、クルマの貸し借りやカーシェアリングの利便性を向上させる。ブロックチェーンを用いることで、デジタルキーの管理や維持にかかるコストを低減する。
クルマの施錠、開錠やエンジン始動といった操作をスマートフォン端末から行えるようにするサービスは、すでに一部の自動車メーカーで採用が始まっている。スマートフォン端末をクルマの鍵として使うには、自動車メーカーやサプライヤー、サービスプロバイダーが鍵としての情報を管理するためのサーバを持つ必要がある。
今後、こうした機能が普及して対象台数が増加すると、鍵の情報管理の負担が大きくなる。アルプスアルパインの説明員は、「スマートフォン端末を鍵として使うクルマが毎年1000万台販売され、それらの車両が10年間使われるとする。年々対象台数が増加した時にサーバを維持できるか、そのコストをどう負担するか、スマートフォン端末をクルマの鍵として使うサービスを継続し続けられるのか。セキュリティの課題もある」と述べた。この対策として、ブロックチェーンが有効だという。
会場のデモでは、クルマのオーナーのスマートフォンを操作してクルマを開錠する様子や、友人にクルマを貸す際にスマートフォン端末を鍵として使うための権限を付与する様子を紹介した。デモはスマートフォン端末の操作をWi-Fiで車両側に伝えた。クルマを貸す際は、オーナーが誰にいつまで鍵の権限を与えるかを設定すると、借りる友人にコードが送られる。そのコードをオーナーのスマートフォン端末で読み取ると、友人のスマートフォン端末も期限つきでクルマの鍵として使えるようになる。権限を付与するまでの処理は1〜3分間かかる。期限の前に鍵を失効させることも可能だ。また、借りた側は鍵を又貸しすることはできない。
車両側に、スマートフォン端末からの操作を受信してドアの開錠施錠、エンジン始動などを行うECU(電子制御ユニット)を追加する必要があるが、ブロックチェーンを用いたデジタルキーの仕組みの方は利用可能な状態であるという。
安全にクルマの鍵の情報や権限を受け渡しできることで、不在時にクルマの荷室に配送の荷物を届けるなどのサービスが実現するほか、修理でクルマを預ける時の利便性向上や、クルマの売却や中古車購入時の不安を解消することが可能だとしている。
展示したデジタルキーは、旧アルプス電気と旧アルパインの連携で実現した。アルプス電気はクルマのデジタルキーの仕様策定を進める業界団体CCC(Car Connectivity Consortium)に参加しており、アルパインがブロックチェーンを使ったサービスを検討していた。両社の強みを生かし、デジタルキーの持ち主がクルマに接近すると、スマートフォン端末の操作なしにドアを開けられるようにするなどのコンセプトも開発中だ。
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