ジャムコは2019年3月26日、航空機内装品を製造する事業において不適切な検査が行われていたと発表した。同社と製造子会社の宮崎ジャムコの2社で判明し、無資格者による検査や受入検査の未実施があった。
ジャムコは2019年3月26日、航空機内装品を製造する事業において不適切な検査が行われていたと発表した。同社と製造子会社の宮崎ジャムコの2社で判明し、無資格者による検査や受入検査の未実施があった。
ジャムコは航空機内装品市場で高いシェアを獲得しており、中大型機のグローバル市場においてギャレー(調理関連設備)では約40%、ラバトリー(トイレ)では約50%(どちらも同社調べ)のシェアを占める。また、同社はボーイング787型機の操縦室内装パネル、収納ボックス、操縦室の防弾ドアと周辺隔壁を独占供給している。
今回発覚した不適切検査は2つの事案があった。第1の事案は宮崎ジャムコで発生し、社内認定資格のない検査実習生が有資格者の検査印を用いて受入検査、工程検査、完成検査を行ういわゆる無資格検査となる。IHIも2019年3月8日、民間航空機用エンジン整備事業で無資格検査を発表しており、航空エンジン・装備品業界で立て続けに検査不正が明らかとなった。
これまでに実施した調査では、受入検査で4283件(調査対象数19万2975件)、工程検査で109件(同1万3299件)、完成検査で21件(同1万3299件)で無資格検査が行われた疑いがあるという。対象製品はシートやギャレー、ラバトリーなど。「後工程となる完成検査の不適切行為はほぼ全てがシートで行われた。受入検査の不適切行為はシートやギャレー、ラバトリーなどの一部構成部品が対象」(同社広報)とし、製品によって無資格検査の発生工程に差が生じている。
第2の事案はジャムコの立川工場(東京都立川市)で発生した。同工場は国土交通省航空局から事業場の業務規程について認定を受けた「認定事業場」であり、製品の整備時に用いる「補用品」や、機体取付品の仕様を変更するための必要部材をまとめた「製品改修キット」の販売事業も担当している。
同事業は認定事業場で受入検査が実施されなければならないが、委託先から部品が認定事業場ではない同社新潟中条倉庫や新潟ジャムコに納品される場合がある。このとき認定事業場でない新潟中条倉庫や新潟ジャムコで受入検査が行い、立川工場に移送されたときに同工場で認定事業場としての受入検査が行わなかった。その状況のまま製品完成後に完成検査が実施され、装備品基準適合証を発行して取引先に納品したという。
第1の事案では検査記録に不備はなく、検査記録の再調査によって製品の健全性に問題はないことを確認したという。第2の事案では顧客と今後の対応を協議するとし、製品についても不備はなく、乗客と乗務員、機体の安全性に直ちに影響を及ぼすことはないとしている。また、弁護士や外部専門家で構成する特別調査委員会を立ち上げ、詳細な原因究明と再発防止策の提言を受けるという。
今回の不適切検査が発覚した経緯は、国土交通省がジャムコに対して検査業務に関する社内調査を行うよう指示したことだった。それを受け、同社が2018年10月に社内調査を実施したところ第1の事案の存在が判明した。社内調査結果の報告を受けた同省航空局が2019年1〜3月にかけて同社と宮崎ジャムコに対して立入検査を行った。
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