ヤマハ発動機は2019年3月20日、台湾の産業機器メーカー「TOYO AUTOMATION」へ出資を決定したと発表した。出資額は約9億円。ヤマハ発動機はTOYOから部品供給を受け、単軸アクチュエータの製品競争力を強化する狙いだ。
ヤマハ発動機は2019年3月20日、台湾の産業機器メーカー「TOYO AUTOMATION」(東佑達自動化科技股份有限公司、以下TOYOと表記)へ出資を決定したと発表した。出資額は約9億円で出資比率は10%となる。ヤマハ発動機はTOYOから部品供給を受け、単軸アクチュエータの製品ラインアップに価格競争力のある製品を投入する狙いだ。
2000年4月に設立されたTOYOは約400人の従業員を抱え、2018年度の売上高は14.3億台湾ドル(約51億5000万円)。同社は「台湾における単軸アクチュエータ市場でナンバーワンのシェアを持つ会社で、中国でもトップ3に入る」(ヤマハ発動機 ロボティクス事業部 FA統括部 営業部長 山田勝基氏)立ち位置のメーカーだ。
ヤマハ発動機がTOYOへの出資を決定した背景には顧客ニーズの変化がある。ヤマハ発動機はこれまで単軸アクチュエータとロボットメーカーのコア技術が詰まるロボットコントローラーを組み合わせ単軸ロボットとして提供してきた。一方で、出資決定と同時に発表された新製品「Robonity series」では単軸アクチュエータのみを販売し、ロボットコントローラーが付属しない。
山田氏はこの戦略について、顧客がロボットコントローラーの変更を敬遠する傾向にあること、またロボットコントローラーをPCで置き換えるトレンドが広がっていることを紹介し、「これからもロボットコントローラー付き製品を提供するが、世の中のスピードやニーズに追いつくために、この(ロボットコントローラーを省略する)戦法を取った」と説明した。
ヤマハ発動機はTOYOへの出資を通じて、低コストかつ高品質なアクチュエータ部品の供給を安定的に受けることを目指す。また、「今後製品の共同開発もあり得る」(山田氏)としている。
今回同時に発表されたRobonity seriesは、高剛性かつローコストの「Basicモデル」と高精度かつ高耐久性の「Advancedモデル」をラインアップ。TOYOから供給を受ける部品はBasicモデルに搭載され、価格は現時点で非公表だが「価格競争力がある設定にする」(山田氏)。Advancedモデルはヤマハ発動機の既製品単軸ロボットからメカ部分を取り出したものだという。
Basicモデルは安川電機、三菱電機、キーエンス、オムロン、山洋電気、多摩川精機、デルタ電子、パナソニックと8社のモーターメーカーに対応し、顧客が使い慣れたモーターを搭載可能とした。ガイドレールとフレームを一体化した構造によって従来製品比で20%の省スペース化を達成。カバーなど外装部品を外すことなく本体固定や駆動部分への給脂を行える。
Robonity seriesは2019年5月7日から国内販売が開始され、販売計画は発売後1年間で6000台。海外市場での販売も予定している。
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