そんなモヤモヤを抱える中で、SOLIDWORKSを主体とした「3DEXPERIENCE.WORKS」(.WORKS:ドット ワークス)の説明を聞くことになります。
これまで大手企業だけが導入可能だと思われていたハイエンドCAEであるSIMULIA、製造工程の検証と最適化をシミュレーションするDELMIA、グローバルな製品情報統合管理システムENOVIAというものが、SOLIDWORKSのソリューションに加わることになるということです。
この説明で、ひとまずモヤモヤが少しだけ晴れた感じです。「おお、そうなのか。SOLIDWORKSという製品において、3DEXPERIENCEプラットフォームを構築する上で、この.WORKSがあるわけね」といったところです。
.WORKSの具体的な提供時期や提供方式についてはまだ不明ですが、これらアプリケーションがSOLIDWORKSと3DEXPERIENCEプラットフォームとの連携を行っていくということは明らかです。
.WORKSでは「MANUFACTURE」「DELMIAWORKS」などのソリューションが提供されるとのことでした。
DELMIAについては、2018年に上海で開催された「Manufacturing in the Age of EXPERIENCE」のレポート記事でも紹介したように、ダッソーの生産工程のデジタル化などを支援するソリューションですが、これは大手企業やグローバル企業を対象としていたものでした。
一方DELMIAWORKSは、中小企業やSOLIDWORKSユーザーを対象に、ダッソーが買収したIQMSのERPおよびMESツールのコンポーネントをベースとしたもので、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で動作するアプリケーションということになります。
私も使用していますがSIMULIAはダッソーシステムのハイエンドCAEです。SIMULIAが、フォルダでもなく、SOLIDWORKS PDMでもなく、クラウド上からモデルを持ってきていることが印象的でした。
SOLIDWORKS Simulationでは大変形・接触の多いもの、マルチフィジックスの計算に課題がありました。どこまで可能なのかは不明ですが、SIMULIAとの連携によってその要求は満たされていくことが予想できます。またSIMULIAはSOLIDWORKSとは大きくGUIが異なり、その操作に戸惑うことが多くありました。今後はアイコンもSOLIDWORKSと似たものになるようで、戸惑うことが減りそうです。
他には、以前も紹介された部品調達を支援する「MARKET PLACE」や、PLMの「ENOVIA」の紹介もありました。
DAY2は、DAY1での内容をより詳細に説明していました。
SWWJ2018でも発表された大規模アセンブリーデータのハンドリング性の良さや、eDrawingsによるAR(拡張現実)機能などの話もあり、SOLIDWORKSそのものの機能の充実は感じられて、ほっとしたりもしました。
.WORKSの詳細が見えてくる中、ソリューションの連携に期待する一方で、一方でダッソーのソリューションの中に、SOLIDWORKSがのみ込まれていくような感じは拭い去ることはできません。
Day3では毎年恒例の、次期バージョンのSneak Preview(チラ見せ)がありました。「SOLIDWORKS 2020」は図面機能の拡張など「なるほど」と思うものもあり、堅調なバージョンアップを進める姿勢はうかがうことができたものの、これまでのSWWのように「おっ!」というようなバージョンアップがあまり感じられなかったことはどう評価するべきなのか……。
私は、SOLIDWORKSは、他社に比べて早く「仕掛ける企業」であり、「変化」を望む企業だと感じています。今回のSWW2019の中で、SOLIDWORKSがダッソーのソリューションとのシームレスな連携がかなうことにより機能向上すると見ることができ、ユーザーとしてそれに期待を持っています。一方で、単純には喜べない何かもあると感じたSWW2019となりました。
さて、日本人ユーザーはSOLIDWORKSの今後の進化をどう受け止めるのか……。今後、製品の最新情報を得ながら、今後の展開を考えていこうと思います。
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