この記事の最後に、公差設計・公差解析の必要性について、もう一度考えたいと思います。MONOistの記事の中で、ここ数回、中国上海で見た中国製造業の最先端の取り組みについてお話しました(関連連載:「3D設計推進者が見た中国製造業とデジタル変革」)。
そこで見た仕組みは、ダッソーシステムズのDELMIAを使用した製造工程におけるデジタルマニュファクチャリングでした。今後、IIoTを駆使したさらなる生産性向上が見られることでしょう。
さらには来場者が、3D CADを利用したミスミ「inCAD」への関心が高いことも会場で確認することができました。
このようなことからも急速な開発設計場面の成長も見られるはずです。私が、公差計算・公差解析導入を考えた数年前は、装置出荷の大きな市場が海外になったことにより、急速に海外装置メーカーが現れ、その中には模倣とも考えられることがあったことによる「模倣品対策」を考えたものから始まっています。
公差は模倣できません。また「模倣できない機構とは何か」も、公差計算・公差解析より検討を進めています。現在では、もっと攻めの公差計算・公差解析を行う必要性を感じてなりません。
海外メーカーに勝つためには、品質管理・コスト管理(コストダウン)・納期管理(納期短縮)を行うべきであり、よって公差計算・公差解析を積極的に用いる必要があるのではないでしょうか。
さらに考えていることがあります。私は、構造解析(CAE)を用いた業務をよく行っています。CAEの場合は、公差的にいえば、中央値のモデルを初期モデルとして行うわけですが、これは果たして正しいのでしょうか。
公差計算・公差解析の結果、寸法的に偏ったモデルもあり得ます。このケースを考えなくてよいのだろうかということです。CAEがエコシステム・デジタルツインとして注目を浴びている現在、「公差計算・公差解析も融合されていかなきゃいけないのでは?」と気になってなりません。(次回に続く)
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