以降は、「TolAnalyst」(SOLIDWORKSアドイン)で計算を進めます。
平行ピンからネジ取付け位置の長さ1に対するガタの水平方向の大きさ1と、平行ピンから度当たりネジの先端までの長さ2に対するガタの水平方向の大きさ2は、先に述べたレバー比として考えることができます。
従って幾何公差とは異なるが、公差計算において「ガタ」をレバー比として考慮することも可能となります。「ガタ」の公差計算については、私もまだまだ経験不足な所もあり、説明が不十分かもしれませんが、そのイメージだけでも理解していただければと思います。
例1を使用して、実際に幾何公差を考慮した公差計算を行ってみます。ここでは、次の図の25[mm]の寸法のみを対象としています。
さらに、設置面の寄与率を見てみると、部品A~B間、部品B~C間でそれぞれ50%であることが分かります。
TolAnalystで幾何公差を考慮する場合は、解析パラメータの、方向指定公差にチェックマークを入れます。
公差の寄与率はどうでしょうか。
部品B〜C間の影響が50%から71.34%と大きく変化していることが分かります。
次に公差計算システム「TOLJ」(公差計算研究所のSOLIDWORKSアドイン)を使用して、公差計算を実行しました。
寸法(サイズ)公差による不良率の計算も行いました。
部品としては1要因しかないとてもシンプルな公差計算にななりますが、この例では考えなかった部品A・部品Cの幾何公差を検討すれば、更にこれらの部品の幾何公差によるレバーの影響を受けることにより、今回得られた公差計算結果と不良率の計算とは異なるものになっていきます。
このように、TolAnalystやTOLJの公差計算の利用により、寸法(サイズ)公差のみの場合と、幾何公差を反映した場合の公差計算を行うことにより、部品Bの部品C取り付け面の平行度の影響を確認することができました。
実際の設計においては、アセンブリーを構成する部品に幾何公差が設定されていないことは、その部品が公差管理できないような部品や、機能性を持った部品でないことを除いては、ありえないと言えます。
さらにいえば、今後は「GD&T(幾何公差設計法)」が主流になっていくのであれば、公差計算を行う上での幾何公差の配慮は、より慎重に行っていく必要があることでしょう。
ここでは、レバー比としての、幾何公差について、公差計算・公差解析への影響についてお話しただけですが、私自身は、正しく幾何公差について理解するためには、幾何公差を学び、さらには幾何公差の測定方法についても設計者の視点で正しく学ばなければならないと感じています。
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