このように10[mm]の位置の幾何公差による傾きが、90[mm]の位置になるとその比率により大きくなっていることが分かります。これを「レバー比」として公差計算・公差解析では定義することにより、幾何公差による公差計算を行うこととしています。
このレバー比を用いると、「ガタ」といわれる部品と部品の隙間も公差計算として反映することが可能となります。
産業機械(装置)においては、上図のような度当たり機構により高さ調整を行うことが多くあります(実際は平行ピンを2本使用するが、例として説明しやすくするために、中心にピンを配置しました)。
この例では、赤丸内の度当たりネジを設置する部品が、取り付け部品に対して、平行ピンを用いて位置決めされていますが、ネジ締結部については平行ピン周りに回転する可能性があります。これは、ネジ締結時に必ずしも同心円で2つの部品が同心円で固定できるとは限らないからです。
この回転方向に対する「ガタ」により、度当たりネジを配置した部品は、固定方法に注意しなければ、上図のように回転してしまいます。このようになった場合、何が問題になるかというと、
この図のように、赤矢印線が示すような2つの部品間の寸法(寸法(サイズ)公差)を、管理するような場合は、この「ガタ」による回転によって影響が出るからです。また、もし上図の赤丸印のような接点の位置を管理したい場合には、「ガタ」によって、この位置に「ズレ」が生じてしまうことは、明らかです。説明がしやすいので、この位置ズレについて次の図のように説明します。
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