超薄型有機太陽電池で駆動する、皮膚貼り付け型心電計測デバイス医療機器ニュース

理化学研究所は、超薄型有機太陽電池で駆動する「皮膚貼り付け型心電計測デバイス」を発表した。消費電力や装着時の負荷を気にせずに、連続的に生体情報を取得できる。

» 2018年10月17日 15時00分 公開
[MONOist]

 理化学研究所は2018年9月27日、超薄型の有機太陽電池で駆動し、心電波形を計測する「皮膚貼り付け型心電計測デバイス」を発表した。同研究所創発物性科学研究センター専任研究員 福田憲二郎氏らの共同研究グループによる研究成果だ。

 福田氏らは、衣服や皮膚などによる変形や、光の入射角度の変化が生じても、安定して出力できる太陽電池の開発に取り組んできた。今回、研究グループは超薄型太陽電池上に規則正しい線状の凹凸パターンを示す「ナノグレーティング構造」を形成する技術を確立。その周期的なナノグレーティング構造により、入射光を効率的に発電に利用できるようになった。その結果、太陽光エネルギーを電力に変換する効率が10.5%に達し、これまでのフレキシブル有機太陽電池の世界最高効率を更新した。

 次に、この超薄型有機太陽電池を、共同研究グループが開発している皮膚貼り付け型の超薄型センサーと集積化して「皮膚貼り付け型心電計測デバイス」を作製した。同デバイスを人の皮膚に貼り付けたところ、外部電源がなくても駆動し、高い精度で信号を取得できた。

 今回の研究により、消費電力や人が装着する際の負荷を気にせずに、連続的に生体情報を取得する要素技術が得られた。今後、生体情報の常時モニタリングなど、次世代の自立駆動型センサーデバイスの開発につながることが期待される。

photo 太陽電池駆動の皮膚貼り付け型心電計測デバイスを指に貼りつけた様子 出典:理化学研究所

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