アップルが「Apple Watch Series 4」の新製品発表を行ったのと同じ9月12日、FDA長官のスコット・ゴットリーブ氏と医療機器・放射線保健センター長のジェフリー・シューレン氏は、デジタルヘルス・イノベーションに関する声明を発表した(関連情報)。
この声明では、本連載第27回で取り上げた「デジタルヘルス・イノベーション行動計画」(関連情報、PDF)や、「デジタルヘルスソフトウェア事前認証(Pre-Cert)プログラム」(関連情報)に触れている。
参考までにFDAは、2017年9月26日、デジタルヘルスのソフトウェア事前認証パイロットプログラムの参画企業として、アップルを含む下記9社(米国企業7社、外国企業2社)を公表している。
また、図2は、FDAが2018年6月に公表した「ソフトウェア事前認証プログラムの構築−作業モデル[v0.2]」の構成要素を示しており、下記4項目が柱となっている。
このうち、「4.リアルワールド・パフォーマンス」に関連して、FDAは2019年のテストフェーズに向けて、図3のような「リアルワールド・パフォーマンス分析(RWPA)」のフレームワークを提案している。
リアルワールド・パフォーマンス分析は、「リアルワールド・ヘルス分析(RWHA)」「ユーザーエクスペリエンス分析(UXA)」「製品パフォーマンス分析(PPA)」から構成される。ユーザーエクスペリエンス分析に、ゲーミフィケーション技術の適用と関わりの深い「ユーザーエンゲージメント」が組み込まれ、製品パフォーマンス分析に、医療機器の市販後安全対策で課題となっている「サイバーセキュリティ」が組み込まれるなど、注目すべき点が多い。
FDAの声明では、2019会計年度予算より、「センター・オブ・エクセレンス・フォー・デジタルヘルス」の創設計画について言及している。FDAは、新たなセンターに関連して、より効率的な規制パラダイムの創設、第三者認証機関を評価・認定する機能の構築に向けた検討、ソフトウェアベースの機器の進化を補うサイバーセキュリティ部門の支援などの方向性を示しており、今後の動向が注目される。
参考までに、FDAが2018年2月13日に公表した2019会計年度予算要求では、以下のような項目が掲げられていた(関連情報)。
今秋の米国中間選挙を経て、トランプ政権が2019年以降どのような形でデジタルヘルス推進政策を展開していくのかが注目される。
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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