モバイルヘルスやデジタルヘルス機器の普及に積極的な米国の医療界では、グローバルプラットフォーマーとの連携強化が本格化している。その背景には「相互運用性の標準化」がある。
本連載第21回で取り上げたように、モバイルヘルスやデジタルヘルス機器の普及に積極的な米国の医療界では、グローバルプラットフォーマーとの連携強化が本格化している。
2018年4月9日、米国医師会(AMA)は、グーグル(Google)と共同で、「ヘルスケア・インターオペラビリティ・アンド・イノベーション・チャレンジ」を実施することを発表した(関連情報)。
米国医師会は、医療施設やテクノロジーベンダーの枠を超えて、保健医療データを整理/共有するための共通データモデルを構築することを目的とする「統合保健医療モデルイニシャティブ(IHMI)」を推進してきた(関連情報)。この取り組みをモバイルヘルス技術に拡張させ、患者と医師の間の医療データのモニタリング/共有を効率化して、慢性疾患管理の向上を図ろうというのが、今回のプロジェクトの趣旨である。
米国医師会は、専用のオープンイノベーションWebサイト(図1参照、関連情報)を公開して、ソリューションのアイデアを募集した。
コンテストの主な評価基準は以下の通りである。
そして2018年6月28日、以下の8つのチームが、ファイナリストに選ばれてプレゼンテーションを行った(関連情報)。
その後6月29日、以下の3チームが入賞者に選ばれた(関連情報)。
米国医師会とグーグルの共同プログラムを俯瞰すると、モバイルヘルスアプリケーションやデジタルヘルス機器から生成されるデータを、患者―医師間のインタフェース(UI)/ユーザーエクスペリエンス(UX)向上や臨床現場の業務プロセス改革に有効活用する中核機能として、相互運用性が位置付けられている点が興味深い。
またグーグルは、「Google Cloud」のWebサイト上で、「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)」の事業提携者(BA:Business Associates)として、クラウドサービス事業者に要求される提携事業者契約(BAA:Business Associate Agreements)の対応状況を公開する(関連情報)など、プラットフォームの臨床現場利用に不可欠なHIPAAの要求事項を順守する体制を構築し、具体的な管理策を提示している。
当然、グーグルのようなグローバルプラットフォーマーのサービスを利用して、モバイルヘルスやデジタルヘルス機器を提供する企業も、サービス品質維持のため、自社の責任範囲の部分について、プラットフォーマーと同等レベルのセキュリティ/プライバシー要求事項を順守する必要がある。
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