日本電波工業は、JAXAと共同開発した高精度アウトガス計測センサー「Twin QCM」を一般産業向けに改良した。宇宙材料開発と同じ高レベルでの分析が可能な機器として、2018年10月より販売を開始する。
日本電波工業は2018年7月2日、宇宙分野向けの高精度アウトガス計測センサー「Twin QCM」を一般産業向けに改良し、発売すると発表した。同年10月より販売を開始する予定。価格は、センサーが200万円から、4chコントローラーが400万円、オプションの真空チャンバが600万円(いずれも税別)となる。
従来、宇宙機器用材料からのアウトガス計測では、水晶振動子センサーによるQTGA計測法が用いられてきた。この計測法では、参照用センサーと計測用センサーの差分計測によってアウトガスの付着量を計測し、センサー温度を制御することで物質の付着・脱離特性からガス付着量を定量化して付着成分を推定する。
同社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発したTwin QCMセンサーは、独自のツインセンサー技術を採用。1枚の水晶振動子センサー上に、参照用電極と計測用電極を設けた新型のコンタミネーション計測センサーとなる。
今回、これにJAXAのオープンラボ制度を利用して改良を加え、宇宙開発と同じ高レベルでの分析に対応する一般産業向けのセンサーおよび機器として提供する。サンプルをそのままの状態で分析できるQTGA法が利用可能になることで、導通不良などの原因となるシロキサンから発生するアウトガスの状況を最終製品の状態で知ることができる。
同社では今後、アウトガス計測が必要な接着剤、放熱材、樹脂などの有機材料を使用する電装機器や自動車などの分野に向けたセンサーシステムとして提供する。これに加え、評価用の小型高真空評価設備もトータルで提供していく。
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