また、アメテック、ウイングアーク1st、リンクス、スカイディスクも講演を行い、最新技術を用いた品質管理や品質改善に関連する製品や具体的な取り組み事例などを披露した。
アメテック 事業開発部部長の井上孝仁氏は「3Dスキャナーによる品質測定検査の自動化について」と題して、「CREAFORM」ブランドで展開する同社の3Dスキャナーの紹介から、測定方法、最新の自動測定ソリューションであ「CUBE-R」の解説などを行った。
3Dスキャナーは物体を立体のデータ(3Dオブジェクト)としてデジタル化する装置だ。3Dカメラなどによる3次元画像の取り込みと異なり、取り込む際には座標軸データを追加し、座標系を構築。座標値を持ったデータ(ポリゴンデータなど)を得ることができる。同社の3Dスキャナーは「どこでも、誰でも、簡単に使える」というコンセプトで開発を行ってきた。また「コンパクトで、現場に持ち込みその場で測定ができる」(井上氏)などの特徴を持ち、自動車、航空宇宙、一般消費財、ヘルスケアなど広い分野で採用されている。さらに最新のソリューションであるCUBE-Rは安全、高精度、高速、フレキシブル、高生産性などの特徴があるという。
ウイングアーク1st 営業・ソリューション本部 製造ストラテジックビジネスユニット インダストリアル企画グループの北澤雅章氏は「IoTデータ活用から始める製造現場の品質改善」をテーマに、同社の取り組みを紹介した。
同社は、見える化およびアウトプットのためのツールを開発/販売している国内ソフトウェアベンダーだ。主要製品としては、帳票基盤ソリューションの「SVF cloud」や、その帳票を管理する電子活用システム「SPA」、またさまざまなデータをリアルタイムに可視化する情報活用ダッシュボード「MotionBoard」などがある。特にMotionBoardは「IoTのデータを活用する中で、見える化だけでなく、最終的にデータを分析し、どこに不良があるか、その要因は何かを解析する」(北澤氏)等の機能を有しており、さらに同社はその集計・分析を行うためのプラットフォーム「Dr.Sum」なども用意している。
リンクス 画像システム事業部 次長の島輝行氏は「産業用画像処理検査におけるディープラーニングの真価」と題して、マシンビジョンによる自動化や協働ロボットの事例について説明した。
マシンビジョンは現在、食品ハンドリング工程の自動化(位置決め)や外観検査工程の自動化など幅広い分野で利用されている。こうした自動化を進めるロボットには、同社が国内総代理店として販売している画像処理ライブラリ「HALCON」が使われている。島氏はHALCONについて「2000を超える画像処理関数群を含んでいるほか、位置決めや検査などの機能を網羅している」と強調する。最近では特に産業用画像処理へのディープラーニングの活用ニーズが高まっている中で、HALCONも2017年にディープラーニング機能を搭載した。その特徴としては、産業用画像処理が使える技術者であれば、専門知識が無くても簡単に関数としてディープラーニング機能を利用できることだという。
スカイディスク 取締役 最高執行責任者 COOの金田一平氏は「熟練者のカンコツにAI分析で確証と気づきを」と題して、製造業でのAI活用の方向性や、AI導入にあたり重要なことなどについて語った。
同社はIoT、AI活用の目標設定の支援から、必要なデータやセンサーデバイスの選定、解析手法の提案、AI学習モデルの作成などにより、顧客の課題解決を図るサービスを提供している。金田氏によると「AIは汎用型AIと特化型AIがあり、この違いを理解することが必要だ。今の産業界に活用できるのは特化型AIであり、この特化型AIに向いているのはゴールが明確な問題だ」として、その例として品質管理など数値化がしやすいものや、人が正解を判断しやすいものを挙げた。また、現在の製造業におけるAI活用のトレンドとして、部品のIoT/AI化(機械の中のモーターなど特定の部品)、機械のIoT/AI化(製造機器、成形機など機械自体のデータを集める)、ラインのIoT/AI化(異なる役割を持った機器がセンサーでつながれ、ライン自体をIoT化し、業務効率を高める)、AI工場全体のIoT/AI化が進んでいるとした。さらに、AIに向いている業務として、金田氏は「マニュアルがあるものや、属人的に人が暗黙知でやっていることであり、これはイコール、職人技や匠の技術といえる」と述べた。
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