熟練者と同等の切削加工品質を確保できる加工誤差補正技術を開発:FAニュース
日立製作所は、NC切削加工機の個体差を考慮した加工誤差補正技術を開発した。熟練者の加工ノウハウをデジタル化することで、切削加工機、工具、素材形状などに応じて制御プログラムを自動で補正できる。
日立製作所は2018年6月18日、NC切削加工機の個体差を考慮した加工誤差補正技術を開発したと発表した。熟練者の加工ノウハウをデジタル化することで、切削加工機、工具、素材形状などに応じて制御プログラム(NCデータ)を自動で補正できる技術だ。
切削加工誤差の予測においては、切削加工機、切削工具の剛性と切削加工誤差に因果関係があることに着目。熟練者の加工ノウハウを物理モデル化することで、デジタル処理を可能とした。NCデータ、切削加工機の剛性、切削工具の形状、素材形状などの情報を入力すると切削加工誤差の自動補正を行い、高精度な加工ができるNCデータを自動出力する。
複数の工場の切削加工機を組み合わせた量産加工において、無補正で加工した場合と比べ加工精度が4〜6倍向上し、熟練者と同等の切削加工品質を確保できた。
切削工具のたわみ形状が原因で生じる切削加工の誤差は、複数の要因により1台ごとに異なり、熟練者は機械の個体差、周囲の環境、経年劣化などを考慮して加工誤差の補正を行っている。補正には属人的な加工ノウハウが必要だが、若手就労者が減少しているため継承が大きな課題となっている。そこで同社は、切削加工の加工誤差を予測し、NCデータを自動で補正する技術を開発した。
切削加工における熟練者加工ノウハウのデジタル化の概要 出典:日立製作所
切削加工誤差の自動補正技術を用いた切削加工フロー 出典:日立製作所
- 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。
- アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。
- 好況に沸く工作機械メーカーは盤石か!? 課題は営業力にあり
企業再生請負人が製造業の各産業について、業界構造的な問題点と今後の指針を解説する本連載。今回はリーマンショック前の勢いを取り戻しつつある日系工作機械メーカーの動向と課題について取り上げる。
- コングロマリットを価値に、日立が描く「つながる産業」の先にあるもの
日立製作所はIoTプラットフォーム「Lumada」を中核としたデジタルソリューション事業の拡大を推進。その1つの中核となるのが、産業・流通ビジネスユニットである。日立製作所 執行役常務で産業・流通ビジネスユニットCEOの阿部淳氏に取り組みについて聞いた。
- 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。
- 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.