ブリヂストンは2016年12月、天然ゴムに匹敵する耐破壊物性と低燃費性能を持つポリイソプレンゴムの合成に成功している。そこで用いられたのが、会田氏が長年研究を続けてきたGd触媒である。
このGd触媒にさらに改良を加えることで、反応性が全く異なる共役ジエンとオレフィンが1つの分子鎖の中に入るような共重合反応を起こせるようになった。今回発表したHSRは、この改良型Gd触媒によって合成したポリマー材料となる。「共役ジエンとオレフィンの割合を任意に制御することで、さまざまな特徴を持つHSRを得られる」(会田氏)という。
HSRは、樹脂の強靭さが加わったことにより大幅に耐破壊特性が向上している。会田氏は、耐亀裂性、耐摩耗性、引張強度の試験結果を示すとともに、会見場に天然ゴムとHSRで作った輪ゴムを持ち込み、報道陣にその強靭さを体験させた。さらに同氏は「不飽和結合が多数あるゴムにとって、紫外線や酸化によって劣化が進みやすいことは課題の1つだった。HSRは、樹脂成分を含むことから、ゴムよりも耐候性が高い」と説明する。
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