高度ITの活用に向けては「従来は人の判断に全面的に頼っていた知性の領域までITを活用し、人の判断を支援する仕組みができないか検討している」(松村氏)という。
具体的な取り組みとして、工場で作業する従業員の作業状況を把握し作業員の安全を見守るとともに、現場全体の作業を網羅的にサポートするプラットフォームを構築する。既に作業員にスマートフォンを持たせ、位置情報の把握や立ち入り禁止区域に入った際の警告などを実施。さらにスマートフォンを持つ利点を生かし、作業指示や入出力の簡略化なども実現しているという。
さらに、これらで得られた情報などを活用し、データ解析と熟練技能者のヒアリングなどを組み合わせ、熟練技能者のノウハウを再現する技術伝承としての活用についても取り組みを進めているという。松村氏は「鉄の圧延工程では、気温や材質の条件などによるさまざまな制御機器を設定して最適な鉄の品質を作ることになるが、これは熟練技能者以外には難しかった。しかし、技能伝承の観点からもこれを明確知化しないといけない。これをITでできないか取り組んでいる」と述べている。
これらを実現するためには人材確保なども必要になるが、新日鐵住金では業務プロセス改革推進部内に高度IT活用推進室を2016年4月に発足。技術開発本部 プロセス研究所内にIA3(アイ・エー・キューブ)センターを2018年4月に設立し、AIの活用などについて研究を進めているという。さらに情報子会社である新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)との連携も強化し、NSSOLのIoX事業推進部やAI研究開発センターとの連携を進めていくとしている。
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