新日鐵住金は同社のIT戦略の取り組みについて紹介。合併後のシステム統合の取り組みにめどが立ったことからIoTやAIなど高度ITを活用した生産性改革に取り組む方針を示した。
新日鐵住金は2018年4月19日、同社のIT変革の取り組みを紹介。新日鉄と住金の合併によるシステム融合の歴史とともに、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連技術を活用による高度な業務改革を推進する姿勢を示した。
新日鐵住金は2012年に新日本製鐵と住友金属工業が経営統合したことで発足。両社の業務を支えるITも統合を進めてきた。2012年10月から2013年度までを第1期(Day1)、2014〜2017年度までを第2期(Day2)とし、営業系で両社のシステムを一元化。さらに生産管理系でも標準化や一貫最適化に向けた取り組みを進めてきた。
新日鐵住金 執行役員で業務プロセス改革推進部長の松村篤樹氏は「2017年度までのところでベースとなるシステム統合はできた。今後は生産管理系のところで統合効果をさらに高めるとともに、IoTやAIなどを活用した高度ITの活用を拡大する」と述べる。
現状の業務システムの高度化については、基幹システムの高度化と標準化などを推進するとともに、生産管理系システムの高度化を推進。品質面や物流、調達面での一貫最適化などに取り組み、業務効率化に注力する。
高度IT活用の拡大としては、製造現場における人を支援するツールの導入を検討する。さらにこれらでより多くのデータを簡単に入手できるようになることから、高度データ解析などを推進し、判断の高度化を目指すという。
生産管理系の業務効率化に向けては、標準モデルの展開に取り組む。新日鐵住金では、合併の影響により、国内15拠点、海外50拠点と多くの製造拠点を抱えている。これらの製造拠点でのノウハウを確立してモデル化し、各拠点への水平展開を図る狙いである。
松村氏は「各拠点の生産管理システムが持つ機能やノウハウを集約、統合し、ベストプラクティスを実現する高度生産管理モデルとして展開する。自社内だけのパッケージシステムを構築するようなイメージだ。ベストプラクティスモデルを基に設備運用に最適な簡略化を実施し、業務効率を高める標準モデルの構築を行う。このサイクルを実施する」と述べている。
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