「3Dエクスペリエンスの進化と強化」では、シミュレーションの強化についても挙げる。同社ではここ数年、シミュレーション関連企業の買収を積極的に行ってきた。2005年にAbaqusを買収して以降、シミュレーションポートフォリオの拡充を進めてきており、最近ではマルチボディーシミュレーションの「Simpack」、電磁場シミュレーションの「CST」、熱流体シミュレーションの「XFlow」、振動騒音シミュレーションの「Wave6」、格子ボルツマン法による流体解析技術「Exa」などさまざまな機能を拡充してきている。「設計とシミュレーションを柔軟性と連続性を持って接続していくということが重要だ。解析のマルチフィジックス化が進む中でプラットフォームによる統合されたシステムの価値を訴えていく」とダッソー SIMULIA事業部テクニカルセールス・ディレクター岩本康栄氏は述べている。
同様に製造領域の強化も推進する。シミュレーションと同じく、ダッソーでは製造領域においてもM&Aをここ数年積極的に展開。Apriso(現 DELMIA Apriso)やQuintiq(現 DELMIA Quintiq)など、M&Aによる製造系のポートフォリオを拡充し、スマートファクトリー化の流れを支援できる体制を構築してきた。
新製品として、工場内のアナログ情報などを共有できる「3D Lean」の展開を2018年3月に開始。工場内の改善活動などを素早くデータとして反映できるようにし、リーン生産の促進などにつなげられるようにしている。
「他産業への展開」では、まずライフサイエンス領域の強化を推進する。2014年に買収したアクセルリス(Accelrys)の事業を「BIOVIA(バイオビア)」として展開してきたが、「マテリアルズインフォマティクス」への関心が高まる中で成果を生み出しつつある。
ダッシー・システムズ・バイオビアのディレクターである磯基夫氏は「CADの世界でのCAEよりもさらに細かい単位でのシミュレーションが材料シミュレーションである。これらを同一プラットフォームで活用できることで、モノづくりの最上流からデジタルの価値を発揮できる」と述べている。
さらにダッソー自身の新規ビジネスモデルとして3Dデータの流通を図る「3Dエクスペリエンスマーケットプレース」を2018年2月から開始。製造業向けのサービスプロバイダーに参加してもらい、3Dエクスペリエンスプラットフォームのデータ連携機能を活用して、3Dデータを流通し製造委託や製造受託が行える仕組みを構築する。ダッソーは流通の手数料を取るというビジネスモデルである。オンデマンド製造の「Make」とインテリジェントパーツソーシングの「Part Supply」を用意。「Make」の参画企業は2018年2月の開始時は50社程度だったが、2018年4月には200社に拡大。今後も拡大を進めていくとしている。
ダッソー日本法人社長に元セールスフォースの山賀氏「理念に共感」
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