“CADだけ”から脱却、“体験基盤”でデジタル変革パートナー目指すダッソー製造ITニュース(1/2 ページ)

ダッソー・システムズは2018年の事業方針を説明。同社が展開するモノづくりプラットフォーム「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を基軸に成長を加速させる方針を示した。また、マーケットプレースなど新たなビジネスモデル創出にも取り組む。

» 2018年04月16日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2018年4月13日、2018年の事業戦略を発表。同社が展開するモノづくりプラットフォーム「3DEXPERIENCE Platform(3Dエクスペリエンスプラットフォーム)」を基軸とし、成長を加速させる方針を示した。

photo ダッソー 代表取締役社長の山賀裕二氏

 ダッソーでは、新たなモノづくり基盤として「3Dエクスぺリエンスプラットフォーム」を推進。同プラットフォームは、CADなどで作成される3Dデータを基軸に、製品開発や生産、販売、マーケティングなど、製造業の一連のビジネスを支えるプラットフォームである。消費者のニーズが、製品1つ1つの機能や性能から、得られる体験へと移行してくる中で、モノづくりの工程も従来のように専門部門が部分最適で進める形では新たな価値を生みだすのは難しくなる。3Dエクスペリエンスは3Dデータを元にこれらを一元的に管理できることが特徴で、この基盤をベースにすることで新たな製品やサービスを創出できるとしている。

 2017年11月にダッソー 代表取締役社長に就任した山賀裕二氏は「就任以降顧客やパートナーへのあいさつ回りで300社以上訪問した。モノづくりのプロセスや価値が大きく変化することへの危機感は多くの企業が抱えていると感じた。こうした変化にどう対応していくかということを支援していく企業となりたい」とダッソーの役割について述べている。

CADの強みを3Dエクスペリエンスに結び付ける戦略

 これらを背景に2018年に取り組むのが「3Dエクスペリエンスの進化と強化」「新産業分野開拓の強化」「新ビジネスモデルへの挑戦」の3つのである。

 「3Dエクスペリエンスの進化と強化」の具体的な取り組みの1つとして2017年から取り組んできたのが、「POWER'BY(パワーバイ)戦略」である。これは、ダッソーが強いCADを軸に、これを3Dエクスペリエンスプラットフォームに結び付けていく戦略である。CADの「CATIA」や「SOLIDWORKS」などの採用企業に対し、新たな工程間連携を実現するデータ基盤として3Dエクスペリエンスプラットフォームの接続の価値について提案を進めていく。

 具体的には、Webとモバイルそれぞれでの容易なアクセス機能、マルチCADによるDMU(デジタルモックアップ)構築、統合された変更管理やBOM管理、3Dエクスペリエンスアプリケーションのシームレスな活用などの機能を強化している。

 既にこれらの取り組みが成果につながりつつあるという。山賀氏は「従来は3DエクスペリエンスプラットフォームはCATIA V6が条件だったが、CATIA V5やSOLIDWORKSなどとのデータ連携も可能とした。さらにシーメンスやPTC、オートデスクなどの他社との連携も可能として、プラットフォームとしての価値を追求していく。時間はかかったが既に成果は出始めてきている。2018年は発表できることもあるだろう」と述べている。

photo ダッソーの「POWER'BY戦略」(クリックで拡大)出典:ダッソー
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