製造業のデジタル化が加速する中、モノづくりはどう変化していくのだろうか。「PLM」や「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」など、製造業に新たな概念をもたらしてきたフランスのDassault Systemesの社長兼CEOであるベルナール・シャーレス氏に話を聞いた。
製造業のデジタル化の流れは加速している。ドイツでは連邦政府主導のモノづくり革新プロジェクトである「インダストリー4.0※)」が大きな注目を集めている他、同様の取り組みが英国やフランス、イタリアなどでも進んでいるという。また、米国はもちろん中国や韓国などでも同様の取り組みが進んでいる。
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ICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)技術の進化により、モノづくりの手法が抜本的に変わる「製造業革新」の動きはもはや止められないものになりつつある。こうした中で製造業はどういうことを考えていかなければならないのだろうか。数多くの製造業向けシステムで製造業の業務フローに影響を与えてきたフランスのDassault Systemes(ダッソーシステムズ、以下ダッソー)の社長兼CEOのベルナール・シャーレス(Bernard Charlés)氏に、現在の製造業を取り巻く環境の変化と、今後の製造業の在り方について話を聞いた。
MONOist 「インダストリー4.0」をはじめとしてICTを活用した製造業革新の動きが加速しています。これらの動きをどう見ていますか。
シャーレス氏 ドイツの「インダストリー4.0」や米国、中国の動きなど世界中で多くのイニシアチブ(主導的組織)が立ち上がっている。これらは名前こそ異なっているが、指し示しているのは全て同じことである。すなわち「デジタル化(デジタリゼーション)」である。現在活動を活発化させている全てのイニシアチブが「デジタル化の価値」を獲得し、製造システムを高度化していこうという動きである。
MONOist 「デジタル化」という動きそのものは以前からあったように思いますが、最近の動きはどういう違いがあると考えていますか。
シャーレス氏 確かにデジタル化の動きは以前からあった。PLC(Programmable Logic Controller)やMES(製造実行システム)の利用、産業用ロボットの活用など確かに以前から「デジタル化」については進んでいたといえる。現在の動きが過去と異なっているのは「インターネット」の要素が入ってきているからだ。従来のデジタル化の動きは一部の領域に特化していた。しかし、インターネットにより、そうはいかなくなった。個々で特化していた領域が標準化が進み、あらゆる領域でデジタル化が進むことになる。そこが大きな違いとなっているといえる。
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