PwC Japanグループが「第21回世界CEO意識調査」の日本調査結果を発表した。今後12カ月で自社が成長する自信は世界の傾向と同様に大きく回復。一方で、デジタル人材の獲得に向けた取り組みには消極的であることが分かった。
PwC Japanグループは2018年2月28日、「第21回世界CEO意識調査」の日本調査結果を発表した。同年1月にPwCグローバルが発表した、世界85カ国1293人のCEOを対象とした調査から、日本企業のCEO123人に焦点を当てたもの。世界全体や他地域と比較し、日本企業の状況や課題について考察した。
調査によると、今後12カ月間で世界経済の成長が「改善する」とした日本のCEOは38%だった。これは前回(11%)の3倍以上となる。世界全体でも前回の2倍近い57%で、どちらも大幅に上昇している。
今後12カ月間の自社の成長に対する自信については、「非常に自信がある」とした日本のCEOは24%(前回の14%から+10ポイント)で、世界全体でも42%(同+4ポイント)という結果だった。
今後自社が成長する上で重要視する上位3カ国については、日本のCEOは米国67%、中国61%、タイ20%と回答。前回とほぼ同様となった。世界全体でも、1位が米国(46%、前回は43%)、2位は中国(33%、前回と同率)で、世界、日本ともに両国への集中傾向が強まっている。
売上拡大や利益向上に向けて今後12カ月に実行予定の施策は、日本のCEOは「本業の成長」(92%)、「コスト削減」(59%)、「戦略的提携やJV(共同企業体)」(46%)、「M&A」(41%)、「一部事業売却や市場からの撤退」(15%)だった。M&Aを活用するとした日本のCEOは、前回から5ポイント上昇したが、米国の69%と比べると依然として差が大きい。
さらに、デジタル関連で高度な能力を持つデジタル人材の獲得については、「非常に困難」と回答した日本のCEOは「経営層(における人材)」が33%、「従業員」では25%。世界全体では「経営層」が23%、「従業員」が22%という結果だった。米国の回答は「経営層」13%、「従業員」19%、中国、香港では「経営層」46%、「従業員」33%で、日本と中国などアジア地域ではデジタル人材の獲得について大きな懸念があることが分かった。
デジタル人材を獲得・育成するための取り組みについては、日本のCEOの回答は「他社との協業」(18%)、「職場環境の整備」「フレキシブルな働き方の実施」「教育機関との協働」(いずれも11%)、「報酬・福利厚生制度の改善」(6%)だった。米国や中国、香港は「職場環境の整備」がいずれも50%であり、日本のCEOはデジタル人材について強い懸念を持つものの、人材獲得に向けた施策の実施には消極的であることがうかがえる。
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