名古屋大学が腕帯(カフ)を必要としない血圧測定技術を開発した。このカフレス血圧測定技術により、これまでは測定困難だった条件下での血圧変化を「見える化」できる。検証によって同技術が臨床応用可能な精度を有することも確認できた。
名古屋大学は2017年12月27日、同大学大学院医学系研究科 教授の室原豊明氏らが、腕帯(カフ)を必要としない血圧測定技術を開発したと発表した。
このカフレス血圧測定技術は、脈波から血圧を測定する。今回の研究では、同技術が臨床応用可能な精度を有するかを検証した。従来のカフ式とカフレス式で、健常者、循環器内科へ通院中あるいは入院中の患者の血圧を同時測定し、データを収集した。
ここで得られたカフレス血圧値について、カフレス血圧測定の世界標準規格であるIEEE標準規格(IEEE 1708-2014)の要求する3つの試験「安静試験」「血圧変動試験(上昇、低下)」「長期再現性試験」で精度を満たすかどうかを評価した。
評価にあたっては、IEEE 1708-2014に準拠した新たな評価方法を作成。さらに、アンケート調査と心電図データから解析した自律神経機能評価指標によって、睡眠時の血圧測定の不快感を評価した。
その結果、要求された全ての条件でカフレス血圧値は精度要求を達成。入眠時のカフによる血圧測定の不快感を、有意に軽減することも明らかになった。
カフレス血圧計の開発は、ウェアラブルデバイスの開発に直結することから、これまで測定困難だった条件下での血圧変化を「見える化」できるようになる。これにより、高血圧患者の脳心血管病予防や、診察室外の血圧測定といった遠隔医療システムによる予防医療への貢献が期待できる。
今後は、センサー形状の開発や、センサーシステムの精度達成に影響を及ぼす原因の特定と対策を進めていく。
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