トヨタらしいIoTは「必要なモノを、必要な時に、必要なだけ」PTC Forum Japan 2017(1/2 ページ)

PTCジャパンのユーザーイベント「PTC Forum Japan 2017」の基調講演に、トヨタ自動車 エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏が登壇。「トヨタ生産方式の心を持ったIoT、トヨタらしいIoTをまい進していく」(同氏)と語った。

» 2017年12月13日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 PTCジャパンは2017年12月12日、東京都内でユーザーイベント「PTC Forum Japan 2017」を開催。同イベントでは、トヨタ自動車 エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏が「エンジニアリングチェーンにおけるIoT活用の取り組み」と題した基調講演を行った。細川氏は、エンジニアリングIT部にとって従来の延長線上の活動となる「メカ中心のクルマ開発」と、将来に向けた活動である「ソフト(モデル・制御)を用いたクルマ開発」や「リアルとバーチャルを融合したクルマづくり」について紹介しつつ、「トヨタ生産方式の心を持ったIoT、トヨタらしいIoTをまい進していく」と語った。

トヨタ自動車の細川昌宏氏 トヨタ自動車の細川昌宏氏

「従来の延長線上の活動」と「将来に向けての活動」

 細川氏が部長を務めるエンジニアリングIT部は、トヨタ自動車のヘッドオフィス傘下となる情報システム本部内の情報システム領域に属する。情報システム領域には約830人が勤めており、同領域で管轄する子会社のトヨタコミュニケーションシステム、トヨタデジタルクルーズ、トヨタケーラムを含めると数千人規模になる。細川氏は「トヨタ自動車全体では828のITシステムを用いており、その運用や導入の費用だけで年間約8000億円規模に達する。828のうち約500システムが、設計開発や生産に用いるエンジニアリングITになる」と説明する。

 エンジニアリングIT部にとって、従来の延長線上の活動となるのが、CADやCAE、PDMなどを用いる「メカ中心のクルマ開発」だ。しかし、クルマそのものがIT化することで「ソフト(モデル・制御)を用いたクルマ開発」の比重が増しており、工場における生産の準備や管理にIoTを活用する「リアルとバーチャルを融合したクルマづくり」も必要とされている。「これらの将来に向けての活動がより重要になってきている」(細川氏)という。

 「メカ中心のクルマ開発」では、2015年ごろからデジタルデータの共有を目的とした新たなPDMを導入。この新PDMがデータ活用の基盤となり、設計と生技(生産技術)との協業、社外との協業が進んでいる。また2017年度には、30以上の部署で1万以上の項目があった社内情報を整流化する全社情報高度化を目的とした品番情報検索システム「品番.com」を立ち上げた。細川氏は「従来は、クレーム対応で必要な情報を得るのに、システムを渡り歩いて、職人技かつ属人的な情報収集と加工が必要だった。品番.comにより、ほしい情報が簡単に、すぐ分かるようになった」と強調する。今後は、品番.comを海外市場に展開する予定だ。この他、顧客の求める新色開発を進化させるITシステムなどの導入も進めている。

 「ソフト(モデル・制御)を用いたクルマ開発」では、従来は部署が分かれていたメカと制御の開発活動が、モデルベース開発の導入によって企画段階から一緒に活動を進められるようになっている。「かつては実車評価の段階まで分かれていた」(細川氏)という。そして、メカと制御が一体となった開発体制を発展させることで、顧客の嗜好に合わせてソフトウェアによるチューニング設定が可能になるとした。同氏は「モデルベース開発を基にしたシミュレーションによりさまざまなチューニングが可能になる。ソフトウェアのアップデートにより、1000万通りの愛車を作れるようになる」と述べる。

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