JDAソフトウェアとサトーホールディングスが戦略的パートナーシップを締結。提携の第1弾として、JDAの倉庫労務管理ソリューションと、サトーの「Visual Warehouse」を組み合わせたパッケージソリューションを提供する。当初は、2019年3月までに食品、飲料業界の大手メーカー5社への導入を目指す。
SCMツール大手のJDAソフトウェア(JDA Software、以下JDA)グループと自動認識ソリューション大手のサトーホールディングス(以下サトー)は2017年12月5日、東京都内で会見を開き、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。提携の第1弾として、JDAの倉庫労務管理ソリューション(Warehouse Labor Management:WLM)と、サトーの倉庫における人やモノの動きを可視化する「Visual Warehouse」を組み合わせたパッケージソリューションを提供する。当初は、2019年3月までに食品、飲料業界の大手メーカー5社への導入を目指す。
JDAのWLMは、倉庫における作業内容を把握した上で、作業員を適切に配置する計画とスケジューリングの機能を持つ。倉庫管理システムとの連携によって、倉庫における業務の効率向上を図ることも可能だ。一方、サトーのVisual Warehouseは、倉庫内における人やモノの位置や動きといった現場の情報を可視化するツールである。連携するピッキング経路システムにより、音声や視覚的な指示でピッキングのための最短経路も案内できる。
倉庫内業務の生産性を向上するという意味では、WLMは10〜15%、Visual Warehouseは15〜30%の効果が見込めるとしている。これらを、IoT(モノのインターネット)という枠組みの中で連携すれば、Visual Warehouseで得た現場の情報をビッグデータとしてWLMで管理、分析し、さらにVisual Warehouseにフィードバックすることにより「トータルで30〜40%の生産性向上が見込める」(サトー 社長兼CEOの松山一雄氏)という。
JDAは、SCMツールを計画系と実行系の両面でカバーするとともに、労務管理システムなども手掛けるITベンダーだ。一方のサトーは、バーコードやRFIDのラベルプリンタをはじめ物流業務などに用いられる自動認識ソリューションのハードウェアを事業の中核としている。
今回の発表により、サトーはJDAの公式ハードウェアパートナーとなり、JDAが展開する製造業向けのインテリジェントマニュファクチュアリング、物流向けのインテリジェントロジスティクス、小売向けのインテリジェントリテールと連動するインテリジェント“エッジ”の一翼を担うこととなる。また、相互の販売協力提携も含まれている。
JDA CEOのギリッシュ・リッシ(Girish Rishi)氏は「アマゾンの躍進に代表されるようにサプライチェーンの世界は大きな変革を迎えている。その変革に合わせてJDAも変わるべく、2020年までにサプライチェーンにシームレスなワークフローを提供するための『20/20』を推進中だ。その上で、サトーとの提携により、物流分野においてリアルタイムでIoTからインサイトを得られることは極めて重要だ」と強調する。松山氏も、「当社からラスト1インチのところにある現場の情報をJDAのシステムにわたすことによって、大きなことが起こせる。倉庫管理の未来の形を作っていきたい」と声を合わせる。
また、JDAの日本法人であるJDAソフトウェア・ジャパン 社長の尾羽沢功氏は「日本の労働市場における人手不足は急速に進んでいる。倉庫内の業務についても状況は同じだ。WLMとVisual Warehouseを組み合わせたソリューションは、倉庫における人手不足の解決に大いに役立つ。まずは食品、飲料業界向けの提案から始めるが、サトーの国内数万社にのぼるユーザーにも共同していろいろな提案をしていきたい」と述べている。
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