サブスクリプションビジネスのIT基盤を提供する米国Zuoraは、日本国内でのサブスクリプションビジネスの状況を紹介するとともに、新たにサブスクライバーの分析を行う「Zuora Insights」の提供開始を発表した。
サブスクリプションビジネスのIT基盤を提供する米国Zuoraは2017年11月16日、日本国内でのサブスクリプションビジネスの状況を紹介するとともに、新たにサブスクライバーの分析を行う「Zuora Insights」の提供開始を発表した。
IoT(モノのインターネット)の発展などにより、製造業でも「モノ」から「コト」へ、サービスを中心としたビジネスモデル変革に注目が集まっている。製品データを常に取得し続けることができるようになることから、従来の製品売り切りのビジネスモデルではなく、モノを通じて得られる価値を新たに提供するというビジネスモデルへと移行することが期待されている。
こうしたサービタイゼーションの動きを支えるのが「サブスクリプションモデル」である。サブスクリプションモデルとは、提供する商品やサービスの数ではなく期間に対して対価を支払うという方式だ。売り切りのビジネスモデルであれば、製造業は販売パートナーや流通・小売業を通じてユーザーに販売する一方通行のフローとなるが、サブスクリプション型で継続的にユーザーとの関係性ができれば、継続的な関係性が必要となる。必然的にバックヤードにも新たなシステムが必要となる。
このビジネスのサブスクリプション化を支えるIT基盤を展開しているのがZuoraだ。Zuoraはサブスクリプション化への動きを「サブスクリプションエコノミー」として価値訴求を推進している。
Zuoraの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるティエン・ツォ(Tien Tzuo)氏は「顧客の期待値そのものがよりスマートでインテリジェンスなものに変わってきている中で、従来のビジネスモデルではそれに対応できなくなっている。サブスクリプションエコノミーへの大きな変化が起こっている」と現在の状況について述べている。
ただ、サブスクリプション型のビジネスモデルで成功するためには従来とは異なる新たなKPI(主要業績評価指標)の設定や、新たに対応しなければならない課題などが生まれてくる。
ツォ氏は「例えば、プライシングを常に調整することや複数決済方法への対応、契約変更への対応、サブスクライバーの履歴管理、継続的な価値の提供、など、従来型とは異なる点は非常に多い。単独でやってもうまくいかない企業なども数多く存在する。こうした企業を支援するのがZuoraだ」とZuoraの価値を述べる。
この中でZuoraが提供しているのが、サブスクリプションマネジメントシステムの「ZUORA CENTRAL」である。これは会計システムとCRMシステムとの間に設置し、サブスクリプションビジネスの展開を支えるものである。
CRMシステムでもサブスクリプションモデルをサポートしようという取り組みも広がっているが「基本的にはCRMシステムは顧客を中心とした情報管理で、会計システムとは分断されている。『ZUORA CENTRAL』はCRMと会計システムを最適につなぎ、サブスクリプションシステムに必要な顧客に応じた価値提供と会計を実現できる点が違いだ」と述べている。
これらが評価を受け、サブスクリプションビジネスに新たに取り組む企業が採用を拡大。例えば、ポルシェが車両の登録代金から保険、税金、メンテナンス費用などを込みにしたサブスクリプションサービスを開始している他、日本でも自動車関連サービスからラーメンの定額制サービスまでさまざまな導入が進んでいる。
Zuoraの日本法人Zuora Japan代表取締役の桑野順一郎氏は、日本での業績について「直近1年間の売上高は前年と比べて244%の成長となっている。顧客企業もコマツやリコー、横河電機など30社以上に拡大し、販売パートナーも富士通や電通など順調に拡大している」と手応えについて語っている。
これらの好調な状況を背景に新たにリリースしたのが「Zuora Insights」である。サブスクリプションモデルでは顧客との接点が常に発生し、サブスクライバーの動向に応じた対応策を打つことが成果につながる。
「Zuora Insights」は、サブスクリプションビジネスに必要な情報に基づいた分析を簡単に行えるSaaS型の分析ソリューションだ。Zuora上の情報だけでなく、第三者情報なども組み合わせた分析が可能。サブスクリプションビジネス独特な指標である契約、顧客維持率(Net Retention)、解約率、ARPA(平均顧客収益)、回収期間(DSO)、顧客生涯価値(LTV)などを自動算出し、分析結果を表示する。
さらに対象顧客を絞り込むドリルダウンなども可能とする。これらにより新たな収益の機会を発見し、サブスクライバーの解約の兆候を察知し、解約を引き起こす根本的な要因に対処することができるという。
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