JEITAでは、これらの産業革新の動きに対し、新たな取り組みを行っている。その変化の1つが「CEATEC JAPAN」の転換である。
「CEATEC JAPAN」は従来、「IT・エレクトロニクスの総合展示会」として開催しデジタル家電などが中心を担ってきた。これを「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoTの展示会」へと変更し、B2Bでの新たな価値を訴求した。今回も「Society 5.0の実現」を大きなテーマと掲げ、さまざまな産業のフロントランナーを呼び集めた「IoTタウン2017」など、さまざまな新たな取り組みを行った。また、インドのソフトウェア団体「NASSCOM」と連携し、インドパビリオンを初展開した。
JEITA自体の方針も新たにし、3つの部会「先端交通システム部会」「ヘルスケアインダストリ部会」「スマートホーム部会」を新設し、成長分野へのシフトを強化する。それに伴い、会員・会費制度を見直し、異業種企業などの参画なども促進している。最近ではトヨタ自動車やソフトバンクが会員になったという。なお「新設の『スマートホーム部会』はConnected Industriesの『スマートライフ』(分科会)と連携して活動を進めていく考えだ」(長榮氏)としている。
長榮氏が会長を務めるパナソニックでは、家電、住宅、車載、B2Bの4つの事業を展開している。その中で、B2B分野で新たな取り組みを開始した。これまでビジネスの現場で長年培ってきた先進コア技術とB2Bシステム提供ノウハウを活用したIoTサービス「μSockets(ミューソケッツ)」を構築し、サービスを提供することを発表したのだ(※2)。
(※2)関連記事:パナソニックが描く第2の“二股ソケット”、つながる価値は次の100年を照らすか
パナソニックでは、既にIoT向けテクノロジープラットフォーム「Panasonic Digital Platform」で、家電、住宅、車載、B2Bをつなぎ、新たなイノベーションを生み出す取り組みをスタートしている。
「μSockets」は、その「Panasonic Digital Platform」を使って企業や官公庁向けに提供するB2B向けIoTサービスとして開発した。パナソニックが持つ多彩で豊富なIoT対応商品やデバイスと、業界トップレベルのセンシング技術、解析技術(エッジコンピューティング技術)、ネットワーク技術、アクチュエーション技術など先進コア技術を組み合わせるとともに、企業・官公庁向けシステム納入で培った豊富な現場ノウハウを体系化して提供する。IoT時代に課題となるサイバーセキュリティ対策についても、独自のIoTサイバーセキュリティ技術により、より安心して導入できるサービスを用意している。
長榮氏によると「μSocketsの語源は、当社の創業の商品である二股ソケットの現代版として、さまざまサービスをマイクロサービス化してつなぎこんで、世の中を元気にする商品(ソケット)を新たに発売するという思いを込めている」という。
さらに、長栄氏は、同社のこれらの取り組みにより「単品の要素技術をつなげる、クラウド、IoT、ソフトウェアでつなげる、事業と事業をつなげる。それにより企業と企業がつながり、業界と業界がつながる。さらには地域と地域、国と国がつながるという付加価値が生まれてくる。これこそがSociety 5.0に向けたConnected Industriesのオープンイノベーションの取り組みだと考えている」と述べている。
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