Bluetoothの脆弱性「BlueBorne」は、PCやスマートフォンだけでなく、IoT機器にも大きな影響を与える可能性がある。製造業の技術者は、生産ラインで用いているPCだけでなく、開発したIoT機器についてもBlueBorneへの対処を行う必要がある。
2017年9月12日(米国時間)、「BlueBorne」と呼ばれるBluetoothの実装における複数の脆弱性情報が公開された。米国のIoT(モノのインターネット)セキュリティ企業であるArmisが発表したもので、Android、Linux、iOS、WindowsなどさまざまなOS上のBluetoothに影響を及ぼす可能性がある。
BlueBorneの脆弱性を利用されると、攻撃者は遠隔操作で機器を乗っ取ることが可能になる。また、感染機器から別のBluetooth機器へと感染させることもできる。攻撃者 BlueBorneを利用することによって、不正コードの実行、情報収集、「Man-In-The-Middle(MitM、中間者)攻撃」も可能になるという。
既に、Android、Linux、iOS、Windowsといった主要OSの開発者からBlueBorneの脆弱性に関する情報が以下のように提供されている。これらの情報を基にOSをアップデートする、もしくはBluetooth機能そのものを無効にすることで脆弱性に対処できる。
BlueBorneはBluetoothが搭載されている全ての機器に影響を与える可能性がある。Armisによれば、現時点で世界に約82億台のBluetooth搭載機器があるという。このうち、Android機器が約20億台、Windows機器が約20億台、iOSなどを搭載するAppleの機器が約10億台としている。残りの約32億台は、Linux搭載機器や、さまざまな組み込みOSを用いるIoT機器と考えられる。
BlueBorneについて、製造業の技術者が気を付けるべき点は大まかに分けて2つある。1つは、工場などの生産ラインで使用している産業PCなどのコンピュータ機器のOSを最新版にアップデートすることだ。BlueBorneに対処するためのアップデートが用意されていない場合は、Bluetooth機能を無効にすればひとまずの対策になる。
もう1つは、Bluetoothが広く活用されているであろう出荷済みのIoT機器への対処だ。比較的高機能なIoT機器の場合はWindows EmbeddedやAndroid、組み込みLinuxを使用しているが、低消費電力が求められるIoT機器の場合はリアルタイムOSを使用していることも多い。OSベンダーやディストリビューターに問い合わせてBlueBorneの脆弱性による影響を確認し、OSのアップデートやBluetooth機能の無効化といった対処をユーザーに伝える必要があるだろう。
また、IoT関連のPoC(概念実証)プロジェクトでは、通信ネットワークにBluetoothを利用していることも多い。プロジェクトで利用しているOSに合わせて、早急な対処が必要だ。
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