シーメンス(Siemens)がデジタル戦略を説明。ドイツ本社で取締役 CTOを務めるローランド・ブッシュ氏は「新技術とデジタル化によって、指数関数的な成長や、バリューチェーンの中で最も脆弱な部分の排除など、大きな変革が起きていく」と語った。
シーメンス(Siemens)は2017年9月12日、東京都内で会見を開き、同社のデジタル戦略について説明した。ドイツ本社で取締役 CTOを務めるローランド・ブッシュ(Roland Busch)氏は「新技術とデジタライゼーション(デジタル化)によって、指数関数的な成長や、バリューチェーンの中で最も脆弱な部分の排除など、大きな変革が起きていく」と語った。
同社は2020年をめどとする事業戦略「Vision 2020」を推進している。デジタル化、グローバル化、都市化、人口動態の変化、気候変動といった世界のトレンドに対して、デジタル化、オートメーション(自動化)、エレクトリフィケーション(電化)という3つの市場に注力していく方針だ。工場の制御機器や設備などシーメンスが最も得意とする自動化の年間市場成長率が3〜4%、電化が同1〜2%と低めなのに対して、デジタル化は同8%を想定しており、最も重視する市場になっている。「高齢化が進む日本とドイツにとって、労働力が減少する中でも成長を続けていくには、IoT(モノのインターネット)やインダストリー4.0などに代表されるデジタル化こそが力になる」(ブッシュ氏)という。
現状のシーメンスの売上高に占める比率では自動化と電化がほとんどだ。しかし、成長を後押しすると見ているのは、デジタル化に対応するソフトウェア事業やデジタルサービス事業になる。同社が“オープンなIoTオペレーションシステム”と呼ぶ産業用IoTプラットフォーム「MindSphere」もデジタル化に含まれている。ブッシュ氏は「シーメンスのソフトウェア事業の売上高は33億ユーロに上り、ソフトウェア企業として世界トップ10に入っている。産業用に絞ればさらに上位になる」と述べる。
デジタル化に注力するシーメンスだが、製造業を起点として同様の戦略を推し進めている競合としてGE(General Electric)や日立製作所などがある。産業用IoTプラットフォームを展開している点でも同じであり、シーメンスのMindSphereに対して、GEは「Predix」、日立製作所は「Lumada」がある。
ブッシュ氏は、これら競合企業に対する優位性として「10年間で100億ユーロを投資して拡大してきたソフトウェア事業が強固なバックボーンとなっていること、これまでに電化や自動化を顧客に提供してきた市場や業界が極めて広範囲であり、深いドメインノウハウを有していること」を挙げた。
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