Neural Network Librariesの性能は、具体的な数値を示さなかったものの「有名な深層学習ソフトウェアと比べたところ、トップクラスの性能を出せることを確認している」(ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 マシンラーニングリサーチエンジニアの成平拓也氏)とのこと。
また機能面では、NVIDIAの並列コンピューティングアーキテクチャ「CUDA」の性能を最大限引き出せるGPU実行やマルチGPU分散学習への対応、Python2/3への両対応、動的ネットワーク構築への対応などがある。
加えて、学習済みニューラルネットワークをさまざまなデバイスに実装しやすくするための「C++API」も用意した。「スマートフォンやロボット、自動運転、IoTデバイスなどに深層学習で構築したアルゴリズムを実装する際に役立つ機能だ」(成平氏)という。CUDAへの対応、C++による移植性を考慮すると、NVIDIAの組み込みAIボード「Jetson」を用いた製品開発に最適かもしれない。
深層学習ソフトウェアはオープンソースで無償公開されるのが一般的だ。実際に、Neural Network Librariesの競合となる、TensorFlow、Chainer、Torch、Caffeなどは既にオープンソースで公開されている。その後の展開で重要になるのは、ユーザーコミュニティーの拡大施策になるだろう。事業展開を担う、ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部門の原山直樹氏は「Neural Network LibrariesはGitHub、Neural Network ConsoleはGoogle Groupsでコミュニティー活動を行っていく。現時点で他社との提携などについては話せないが、活用事例を公開するなどして活動を活発化させたい」と述べるにとどめた。
会見では、ソニー社内における開発事例として、イヤフォンマイク「Xperia Ear」のヘッドジェスチャー認識、「デジタルペーパー」の手書き文字認識、不動産売買の成約価格を高精度に推定する不動産価格推定エンジンなどを紹介した。いずれも、開発効率などを大幅に向上できたとしている。
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