また、事業で得たビッグデータをAIで解析することで、さらなる新しい時代の到来を予測する。「私はシンギュラリティ(SINGULARITY)が、この30年の間に必ずやってくると信じている。人間が囲碁や将棋に勝てなくなったように、人間の知恵や推論など人間がおよそ考えられる程度のことは、コンピュータのほうがはるかに賢く考えることができる。それがいいことか、悪いことかについては議論すればいいことであり、結果を良い方向に導くことがソフトバンクグループの考えだ」と述べた。
また、「AIがロボットに組み込まれたときには、超知性を持ったロボットがクラウドでつながり、1兆個のモノと通信するようになる」(孫氏)ことから、スマートロボティクスは情報革命の次のステージでの重要な推進役であると考え、ロボット開発のBostonDynamics(米国)を2017年6月に買収した。BostonDynamicsは「BigDog」「Atlas」「Spot」「Handle」などの世界で最も先進的なロボットを開発しており、敏しょう性、機敏性、知覚性、知性を備えた高度なロボットの設計、開発、フィールドテストにおける第一人者だという。
ソフトバンクではこうした投資を続けることで「新しい時代のジェントリ」を目指している。同社の投資実績は18年間で1兆円強だが、結果的に20兆円を超えるリターンを生んでいるという。毎年44%複利で価値を増やしている計算だ。「これほどの収益率を出した企業は世界にないと自負している。特にアリババ(Alibaba)への投資は大きな利益を生んだが、アリババを除いても、42%の利益がある。さらに(累計リターン額上位)1〜5位を除いても41%のリターンがある」と成果を強調した。
そのソフトバンクが投資規模を拡大するため、10兆円規模に達するソフトバンクビジョンファンドという投資ファンドを設立した。「2016年の1年間における世界中のベンチャーキャピタルの総額が7兆円だった。それに対して、当社1社でそれを超えた10兆円という規模を用意した」(孫氏)。投資家の中には、IT関連企業を始め、サウジアラビア王国のパブリックインベストメントファンドも戦略的提携を結び、参加している。また、ソフトバンクだけでも3兆円を用意しているという。孫氏は「『新しい時代のジェントリ』を目指し、同じ志を持った投資家が集まることで、情報革命を起こす」などと力強く語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.