実はもう始まっていたりして。
2016年は製造業にとって節目となる年だったかもしれません。興味をそそるトピックでしかなかったさまざまな技術が、本格的に製造業に適用できることが明らかになり、事業化の端緒につき始めたからです。
その代表ともいえる技術がAI(人工知能)でしょう。これまでも、GPUベンダーのNVIDIAがけん引していた「ディープラーニング」という新たな手法によってAIが再評価されつつあったことは確かです。しかし、2016年3月にGoogle DeepMindの「AlphaGo」が現役囲碁チャンピオンに勝利したことを契機に、一般層を巻き込む形でAIへの注目は一気に高まりました。いわゆる第3次AIブームです。
この第3次AIブームに乗る形で、国内IT企業もAI技術のブランド化や事業化を進めています。NEC(関連記事:NECがAI事業強化「思考の拡大」目指す、「脳型コンピュータ」開発も)、富士通(関連記事:“実務に寄り添う”人工知能、富士通がクラウドサービスとして提供)、日立製作所(関連記事:日立の人工知能技術「H」が“汎用AI”だからできること)はその代表例と言っていいでしょう。また、トヨタ自動車(関連記事:「完全自動運転の障害物検知は人工知能が不可欠」、トヨタテクニカルセンターのCE)やデンソー(関連記事:デンソーがクルマに載せられるAIの開発に注力、「かなり早めに出せる」)といった非IT企業も、AI開発を加速させています。
さて、AIの話題が出ると、AlphaGoが囲碁のチャンピオンを打ち負かしたように、いつの日か人間を超えるのではないかという議論が出てきます。その際には、ソフトバンクグループCEOの孫正義氏が提唱してきた「コンピュータが人間の知的能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)の到来」についてもよく引き合いに出されます。
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