シャープが2017年度第1四半期(4〜6月期)の連結業績を発表。経営危機に陥った同社だが、4半期連続で営業黒字を達成するなど経営状況は改善している。また、有機ELに押されがちといわれる中小型液晶パネルについても「PCや車載、スマートフォンを含めて好調だった」(同社)という。
シャープは2017年7月28日、東京都内で会見を開き、2017年度第1四半期(4〜6月期)の連結業績を説明した。売上高は前年同期比19.6%増の5064億円、営業利益は同19億6000万円改善の17億1000万円、経常利益は同39億4000万円改善の17億1000万円、当期純利益は同41億8000万円改善の14億4000万円となった。
2016年8月に鴻海精密工業の傘下に入ったシャープだが、2016年度第2四半期(7〜9月期)以降は4半期連続で営業黒字を達成しており、経営状況は改善している。2017年度業績予想も、上期で売上高1兆1000億円、営業利益370億円、通期で売上高2兆5100億円、営業利益900億円としており、急ピッチでのV字回復を目指している。2017年度第1四半期の業績も堅調だったことから、業績予想は変更していない。
シャープは2017年度から、事業セグメントを4つに再編した。白物家電やエネルギーソリューションを扱う「スマートホーム」、複合機などを扱う「スマートビジネスソリューション」、半導体や電子部品、モジュールなどを扱う「IoTエレクトロデバイス」、完成品である薄型テレビと液晶パネルを扱う「アドバンスディスプレイシステム」である。2017年度はこれら4セグメント全てを伸ばし、売上高で前年度比22.4%増、営業利益で同44.1%増という高い目標の達成を目指している。
なお2017年度第1四半期の各セグメントの売上高は、スマートホームが前年同期比4.2%増の1302億円、スマートビジネスソリューションが同6.9%減の721億円、IoTエレクトロデバイスが同11%増の832億円、アドバンスディスプレイシステムが同49.4%増の2496億円だった。
最も良かったのがアドバンスディスプレイシステムで、薄型テレビは、中国市場と、UMCを買収した欧州市場で好調だった。スマートフォン向けで有機ELに押されがちといわれる中小型液晶パネルについても、「PCや車載、スマートフォンを含めて好調だった」(シャープ 代表取締役兼副社長執行役員の野村勝明氏)という。中小型パネルについては、2017年第2四半期以降も受注が決まっており、今後も堅調な業績が続く見込みだ。
中小型パネルについては、鴻海精密工業に買収される前からスマートフォン偏重を是正して、車載などの産業用途への展開を強化する方針を打ち出しており、それらの施策によって製品ミックスのバランスが取れつつあるとみられる。
シャープは2017年4月に発表した2017〜2019年度の中期経営計画において、「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」を2本柱として守りから攻めへのトランスフォーメーションを進めていくとしている。これらのうち「8Kエコシステム」の売り上げ目標については、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に3000億円超を目指す」(野村氏)としている。
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