日本IBMは、エンタープライズ向けのAI駆動開発を支援する「IBM Bob」を中心に仕様駆動開発を推進すると発表し、同社が掲げるAI戦略について説明した。
日本IBMは2月10日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、エンタープライズ向けのAI(人工知能)駆動開発を支援する「IBM Bob」を中心に仕様駆動開発を推進すると発表し、同社が掲げるAI戦略について説明した。同サービスは同年3月にSaaS版の一般提供を開始し、同年9月にオンプレミス版の一般提供を予定している。
近年、ソフトウェア開発における「バイブコーディング」を中心としたAI駆動開発に注目が集まっている。AI駆動開発の区分は大きく分けると「バイブコーディング」「ハイブリッド」「仕様駆動開発」の3つに分類ができる。日本IBM 取締役副社長執行役員 兼 Chief AI Officerの村田将輝氏は、「われわれは重要システムを開発/保守するエンジニア向けの開発区分である『仕様駆動開発』を本気で推進したい」と強調する。
日本IBMは2026年のAI戦略方針として「IT変革のためのAI(AI for IT)」「ビジネス変革のためのAI(AI for Business)」「統合AI基盤(Unified AI Platform)」に「IBM AI Lab JapanとAIパートナーシップ」を加えた「3+1」の重点領域に注力すると発表。その内のAI for ITの取り組みとして、仕様駆動開発を推進していく。
実際にIBMは2025年10月に、Anthropicと業務提携を発表。同社の強力なLLM(大規模言語モデル)の1つである「Claude」をIBMのソフトウェア/ポートフォリオに導入して、エンタープライズ向けのAI開発を加速している。IBMのソフトウェア開発部門内でもAI駆動開発を2025年から実施しており、生産性が改善した事例も次々と出てきている。
同社が経験しているAI駆動開発の変革を顧客に還元したいという思いで生まれたのが、IBM Bobである。村田氏は「先ほどIBM Bobの開発責任者と話したところ、現在では3万3000人のIBM社員がIBM Bobを活用していると話していた。測定可能な成果としては47.5%の業務改善効果を生み出している」と語る。
IBM Bobは統制/制御権を持ち、安全性や監査性、再現性といった「エンタープライズ思考」を備えている。そして、クラウドとオンプレミス両方で活用でき、APIやMCP(Model Context Protocol)連携といった「ハイブリッド拡張性」を整備している。さらに、モダン言語やJava、Pythonだけではなく、COBOLやRPG(現IBM i専用のプログラミング言語)などサーバ上で動く言語にも対応する「全方位モダナイゼーション」という特徴がある。
日本IBMは仕様駆動開発でリーダーシップを発揮するために、IBMグループが保有する独自の大規模開発のノウハウを組み込んだアセットを開発している。そして、同社がこれまで進めてきたプロジェクト管理をAIで実施するという取り組みにIBM Bobを連携させていくことを考えている。村田氏は「これまでは開発/テスト局面分野に注力し、部分的にAIを活用していた。今回われわれが目指しているのは、この成果を生み出すことである。2027年以降、システム開発のプロジェクト全体における効果を生み出し、35%の工数削減と30%の期間短縮を目指して活動していく」と述べる。
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