松本 新聞報道によればESIPでは「情報家電」「ロボット家電」「ヘルスケア」「環境エネルギー」の4分野で、IoTを中心に関連企業の支援に乗り出すとのことですが、支援の具体的な内容を教えてください。
井上 新聞で紹介されたのは、ESIPの今年度からの中期ビジョンについての掲載です。ESIPは、これまでメーカを中心に情報家電、ヘルスケア、ロボット、環境エネルギー分野の組込み産業を発展させるために取り組んできました。今年度からは、記事中に紹介されていたようにそれらにIoTを取り入れることで、新創出やオープンイノベーションを加速させようと考えています。既にESIPには、IoTを取り扱っている企業やこれから取り組もうとしている企業が、地域・ドメインを超え続々と入会・活動に参加してきています。
松本 記事にはIoTをテーマにした人材育成を行うことも書かれていました。具体的には、そのドメインに特化したスキルを身に付けるカリキュラムなどを増やすのでしょうか?
井上 教育事業としては、体系性や普遍性を重視する方向です。ESIP内の組込み適塾は、もともと普遍性や汎用性の高い教育を目指していたので、そこにIoTに対応できる人材を育てようということになっています。IoTを「つなぐ」「見つける」「生み出す」という三層に分けています。IoT組込み技術は、積極的に取り組んでいかなくてはいけないという部会などの意見を踏まえ、その分野を拡充していくことで新しい分野に対応できる人材を育てていきます。特定の分野やドメインに閉じるというような意図ではなく、一応ジェネラルな方向性です。
松本 「つなぐ」「見つける」「生み出す」は良いキーワードですね。全体の体系がつかみやすいです。「見つける」というキーワードには、ビッグデータやAIの活用も含まれるのでしょうか。
井上 そうです。そのために、Hadoopを利用するような授業も今年から入っています。データマイニング系が重要だという意見が多く、スタートしました。
松本 組込み技術者とデータマイニングには、どのような接点があるのですか?
井上 組込みからのデータをクラウドに送り、そのデータを処理します。データマイニングを知らないとできません。そのための基礎勉強という位置付けです。最近はボードの性能が優秀になり、その中でもちょっとしたデータマイニングやAIの計算などができるようになってきています。例えば、ボード内で画像認識程度はできるのです。データマイニングを学んでも、ボードの開発を主戦場にすることは可能です。ただし、今はクラウドを通してバックボーンでデータを扱える時代ですから、両方の知識があることが非常に重要だと考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.