INIAD Hub1は建築家の隈研吾氏が設計しているが、建築設備や内装、総合プロデュースは坂村氏が担当している。坂村氏は1989年に提案した「TRON HOUSE」を皮切りに、住宅やビルに組み込みソフトウェアやITを生かす取り組みを進めてきた。
坂村氏が監修し、東京大学の敷地内で2014年5月に完成した「ダイワユビキタス学術研究館」もIoTビルだが「実際に作ってみてさまざまな課題が見つかった。INIAD Hub1はその知見が生かされている」(同氏)という。
TRON HOUSEから約30年の間、半導体技術の進化、ネットワーク技術の進歩、無線化、そして通信コストの大幅な低減によって、IoTの枠組みで語られるように、人とモノが全てつながるようになる。坂村氏はこれを「Aggregate Computing Model」と定義しており、同モデルでは人もモノも区別なくオープンなAPIで全てが自動連携できる世界になるという。
坂村氏は「この世界では、スマートフォンアプリによるモビリティサービスを使う場合、呼び出したクルマが自動運転車であっても、人間が運転する自動車であっても、同じ『移動』というサービスを利用することになる。つまり、オープンなAPIの先にあるのが、人なのか、モノなのか、ビルなのか、組織なのかは重要ではなく、それらが提供するサービスの連携こそが重要になる。これはもはやIoTではなく、IoS(サービスのインターネット)だ。INIAD Hub1は、IoS時代に向けた教育の場になる」と述べている。
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